政権移行チームの指揮を執るオニキス・ロレンゾーニ次期官房長官(民主党・DEM)が3日、労働省は機能別に3分割され、経済省、法務省、市民省に統合されると表明した。4日付現地各紙が報じている。
労働省は1930年11月26日にジェトゥーリオ・ヴァルガス大統領が設置した。現在はカイオ・ヴィエイラ・デ・メッロ氏が率いている。
ロレンゾーニ氏は、「労働省の機能の大半を占める、労組認定の部分は法務省が引き継ぐ。労組認定こそが問題の根源だ。これにはセルジオ・モロ次期法務相があたる」と発言した。
ロレンゾーニ次期官房長官の指摘した労組認定問題とは、ブラジル労働党(PTB)が労相ポストを握っていた時代、「労組申請を望む団体と労省関係者が癒着し、賄賂の見返りに労組申請に便宜を供与する」図式の汚職がはびこっていた事を指している。
経済省は、勤続期間保障基金(FGTS)と労働者支援基金(FAP)の管理、労働法違反の監査や雇用振興政策などを引き継ぐ。エスタード紙は、「パウロ・ゲデス次期経済相はFGTSとFAPを押さえ、合計8千億レアルもの予算の裁量権を握った」と評している。FGTS、FAPは正規雇用社員のために雇用主が積み立てる資金が原資だ。同資金は住宅、インフラ、上下水道整備のために使われ、運用益は失業保険や諸手当として労働者に支払われる。
オズマル・テーラ氏が次期大臣に就任する市民省は、職業教育部門を引き継ぐ。
FGTSとFAPの扱いをゲデス次期経済相が決められる事になれば、政府の義務的支出削減の一助となりうる。ゲデス氏はテメル政権と同様、2最低賃金までの正規雇用の給与受給者への手当(abono salarial)の支払い額削減から廃止までを視野に入れているとされている。そうすれば、現状190億レアルに達している同手当の支払い分を削減できる。
ゲデス次期経済相は、失業保険規定の見直しも可能になる。現行制度のままなら、来年のFGTSやFAPからの手当と失業保険の支払い総額は598億レアルに達する。この額は、基礎的財政支出の4・2%を占める。
労働省は、「省解体は『労働者、事業主が公的機関に直接参加することを認める』とする憲法に反する。労働省を民主的な手続きもなく、機能別に解体すれば、労働者、事業主、公的機関のの対話や調整の場を奪いかねない。この対話は、労働者、雇用主の関係が偏ったものにならないために極めて重要」との声明を発表した。
オニキス次期官房長官は、細かい調整は新政権の下で行われるとしたが、奴隷労働取り締まり問題をどの省庁が引き継ぐかは語らなかった。
全国司教会議の土地司牧審議会で奴隷労働撲滅に取り組むシャビエル・プラサッチ師も、労働省解体再編で奴隷労働に対する政府の取り組みが弱まると懸念している。