人文研調査によれば、会館を所有する団体は90%に上り、過去5年間で改修・増築工事したのは62%。所有する土地の合計はなんと1902万平米で、サンカエターノ市(1533万平米)より広い。うち建築面積は55万平米で、平均だと1568平米だった。単純計算すると31メートル×50メートルで1550平米だから、かなり大きな会館が多いようだ。その結果、地方部だと「市で唯一の文化施設になっているところも多い」という。
会議で使う言葉は80%がポ語で圧倒的。今も日本語は7%と少数派、両方が13%だった。日本語学校がある団体は139だった半面、「過去あった」ところは193もあり、日本語が無くなる流れは残酷にも鮮明だ。また、70%の団体には婦人部があったが、78%には青年部がなかった。将来性の部分で疑問が生まれる数字だ。
「あなたは日本人の血を持っていることに誇りを感じますか?」との質問に「はい」と答えた割合は、一世で97%、二世で96%、三世で98%、四世で98%、平均は97%。「世代を問わず、ほぼ全員が誇りを持っていることが分かった」という。
会費は「無料」が56団体(14%)、1~120レアルが122(30%)、121~600レアルが203(50%)と最も多かった。なお601レアル以上が27(6%)もあった。
「自分がコロニアの一部だと思いますか」との質問に「はい」と答えたのは、一世が93%、二世が78%、三世が72%、四世が86%、平均が77%だった。二世、三世と所属意識が下がるのに対し、なぜか四世になると上がる興味深い結果となった。
これだけ高い日系性が維持されている理由に関し、「各地のKAIKAN(日系団体)の活動によって、誇るべき日系性という価値が幅広く残されて来た。これはブラジルという国の懐の深さのおかげ。感謝すべき」と締めくくった。
野口泰在聖総領事は「安倍総理の強い方針のもと、日本政府としても日系団体との関係、連携強化を図っていくつもり」と挨拶した。
「どうしたらコロニアの活性化ができるか」と細川さんに尋ねると、「リーダーシップのある会長が必要」「連合会のない地域がかなりあり、孤立した団体が多い。インターネットなどを活用した全伯的なネットワーク作りが必要」と答えた。
最終報告は、早ければ年内には人文研とニッケイウェブのサイト上で一般公開される予定。