ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》オニキス氏が議会対策練るも、憲法違反=政党や議員名を事業に冠す=連立の代替案も苦慮=軍人派は政局調整役狙う

《ブラジル》オニキス氏が議会対策練るも、憲法違反=政党や議員名を事業に冠す=連立の代替案も苦慮=軍人派は政局調整役狙う

オニキス氏(Valter Campanato/Agência Brasil)

オニキス氏(Valter Campanato/Agência Brasil)

 次期官房長官予定のオニキス・ロレンゾーニ氏(民主党・DEM)は、政党連立を行わない代わりに、政党や議員の名前を事業の名称プレートに記載することを認めることで、議会の歓心を得ようと画策しているという。その一方で、議会からの支持の弱いオニキス氏に対抗し、アミウトン・モウロン次期副大統領をはじめとする軍人派が政局調整(アルチクラソン)の役目を奪おうとする動きがあるという。6日付現地紙が報じている。

 ボルソナロ政権では、従来のような連立政権を組まない方針を打ち出している。だが、ブラジルのように、第1党の政党でさえ、下院勢力の10%前後しか占められない多政党の国の場合、その方針で議会運営が可能なのかを不安視する声は根強い。
 フォーリャ紙によると、オニキス氏は、下議や上議が議員割り当て金を使って行う事業に関して、事業の名称や施工者などを記したプレートや看板に、その事業を申請した議員の名前や政党名を記載することを認めれば、議員や政党の名前が国民に広く知られるようになると訴え、議会の歓心を得ようとしているという。
 だが、元最高裁長官のアイレス・ブリット氏は、この方法は憲法違反であると指摘している。それは、憲法第37条が「公的な宣伝や広告で個人名を売り込む行為」を禁じているためで、公共事業を特定の個人や団体と結び付けることは憲法違反に当たるという。
 オニキス氏は連邦検察庁や最高裁に合憲性を探る意向だが、法律の専門家の大半は既に、違法との見解を表明している。
 一方、5日、モウロン副大統領は、昨日付本紙でも報じた、最高裁が連邦検察庁に対し、オニキス氏が食品大手JBS社から受けたとされる選挙献金の形の収賄疑惑に関する捜査を許可した件に触れ、「捜査で不正が明らかにされ(起訴され)たら、オニキス氏は退陣すべきだ」と語った。ボルソナロ次期大統領も、「不正が立証された閣僚は誰であれ、私のペンの行使対象となる(更迭する)まで」と語った。
 だが、エスタード紙によると、モウロン氏の発言には別の思惑もあるという。モウロン氏はオニキス氏が議会との交渉役と省庁間の交渉役を兼任するのをよしとせず、自分や元陸軍将軍で次期大統領府秘書室長官のカルロス・アルベルト・ドス・サントス・クルス氏も調整役を担いたいと考えている。クルス氏は現状、州や市と連邦政府の調整役を任されている。
 その背景にあるのは、議会内部でのオニキス氏の交渉力を疑問視する声の強さだ。オニキス氏の政局調整力については、進歩党(PP)、ブラジル労働党(PTB)、連帯(SD)、ブラジル共和党(PRB)、民主社会党(PSDB)、ブラジル社会党(PSB)、そしてオニキス氏所属のDEMまでもが不信感を示しているという。
 そんな中、5日、共和党(PR)はボルソナロ政権への連立を正式発表している。