ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》フクス最高裁判事が「最低運賃破りの罰金」を却下=「社会の勝利」と農牧業界=輸送業界、年明けストの動きも

《ブラジル》フクス最高裁判事が「最低運賃破りの罰金」を却下=「社会の勝利」と農牧業界=輸送業界、年明けストの動きも

ルイス・フクス判事(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

ルイス・フクス判事(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 連邦最高裁のルイス・フクス判事は6日、「貨物輸送の法定最低運賃を破った場合に、国家陸路輸送庁(ANTT)が罰金を徴収することを認めない」という仮判決を出したと、6、7日付現地各紙・サイトが報じた。
 今年5月末に発生した全国トラックスト後に制定された法定最低運賃表は、定期的に更新されており、守らなかった場合は罰金が徴収される事になっていた。
 大規模農家など、輸送を依頼する側に輸送料金を大きく値切られることを、個人ドライバーを含むトラック輸送業者たちは不満に思っており、ストを起こした。輸送業者への〃懐柔策〃として、輸送距離、貨物の重量などに応じて、「輸送費をこれより安くしてはいけない」としたのが法定最低運賃表だ。
 法定最低運賃制定は、まずテメル大統領による暫定令(MP)の形で出され、その後、議会が承認した。
 ANTTは先月、輸送業者の声に応じる形で、法定最低賃金を破った際の罰金を定めた。それによると、法定最低運賃より低い金額で輸送させていた業者は、最低運賃との差額の2倍の罰金を払わねばならないとあり、罰金額は、550レアルから1万500レアルまでと定められていた。
 しかし、輸送費を法定最低輸送費以下で契約した業者を摘発し、罰金を課す権利はANTTにはないというのがフクス判事の判断で、仮判決は、来年開かれる最高裁大法廷での審理まで有効だ。
 輸送を依頼する側の農家などが加盟するブラジル農牧連合(CNA)は、9月6日に法定最低運賃表を停止する要請を出していた。フクス判事の仮判決は、これを受け入れた格好だ。
 フクス判事は、農牧供給省作成の報告書にも言及し、「法定最低運賃が国内向け農産物の価格を上げ、輸出時の価格競争力も低下させている」とした。同判事は、穀物輸送費が倍以上になり、とうもろこしの輸出量が34%も落ちていると言及した。
 CNA法務部長のルジィ・フェラス氏は、フクス判事の仮判決を「食物供給チェーン、輸送業界にも法的安全性をもたらすもので、CNA、輸送業者、社会全体の勝利だ」と評価した。
 これに対し、「法定最低運賃が多くの現場で守られていない」と主張しているトラック輸送業者たちは、5月のストの時と同様、メッセージアプリのワッツアップを利用して、再度のストを計画している。
 来年1月20日予定の最低運賃表改定日の2日後、1月22日がスト予定日とも言われている。