平成30年度「秋の叙勲」伝達祝賀式が6日午後、在聖総領事公邸で行われた。今回ブラジルからは17氏が表彰され、在聖総領事館管内からは旭日双光章に元山光男氏(89)、貞方賢彦氏(76)、西尾義弘ロベルト氏(75)、旭日単光章に石井千秋氏(77)、西尾義弘ロベルト氏(75)、岩原勝一氏(85)が栄誉に浴した。
日伯両国歌斉唱の後、野口泰在聖総領事は「ここに至るまでに言葉には表せないほどの幾多の困難やご苦労があったのでは。皆様が長年に渡り日伯の友好協力関係にご尽力され、大きく貢献されてきたことに深く感謝致します」と挨拶して益々の健勝を祈り、勲章、勲記が授与され、各受章者が挨拶した。
元山氏は、元アラサツーバ日伯文化協会会長。日本語モデル校や太鼓チームの創設に係ってきた。「ブラジルにいても日本人であることを忘れてはいけない。日本文化を200年と伝えたいという気持ちでやってきた。自分一人でできることは何一つない。この叙勲は私一人のものではなく、アラサツーバ文協、家族をはじめ市民の方々とともに頂いたもの」と喜びを噛み締めた。
貞方氏は、ヤクルト商工(株)設立メンバーで元代表取締役社長。元ブラジル商工会議所会頭としても日伯経済交流に貢献した。今年は当地でヤクルトの生産販売が開始してから半世紀の節目にあたる。「雨の日も風の日も販売に勤しんでいる5千人の販売員、2500人の社員、役員を退職された方々の理解があってこそ」と謝意を滲ませ、「皇居で天皇陛下からお祝いのお言葉を頂き感激して帰国した。今後とも微力ながら日系社会の活性化と日伯の緊密な関係強化のために尽くしたい」と背筋を正した。
伯日文化社会統合協会会長、宮坂国人財団理事長、日本移民史料館運営委員長など日系団体で要職を兼任する西尾氏は「アサイーで生まれ、ポ語の分からない移住者のために通訳をして手助けする母の背中を見て育った」と社会奉仕の原点を語り、受章に寄せて関係者に謝意を述べた。
64年ミュンヘン五輪で伯柔道界初の銅メダルを獲得し、当地における柔道ブームの火付け役となった石井氏。柔道が正式種目に認められた64年東京五輪の年に夢を追って移民した。「予期せぬ光栄に驚き。私のこれまでの柔道が日本への恩返しとなり、また移民を受入れてくれたブラジルに対する感謝の気持ちで一杯」と矍鑠と語った。
スザノ文化協会会長や汎スザノ文化体育農事協会評議員会委員長を歴任したほか、サンパウロ日伯援護協会理事を務めた岩原氏は「本日ここに立たせて頂いているのは、私を支えて頂いた皆様のおかげ。皆様を代表している。本当に有難う御座います」と溌剌とした声で謝意を述べた。
なお、同日夜には文協貴賓室でも祝賀会が催され、受章者は、家族や関係者らと共に喜びを分ち合っていた。