在聖総領事館(野口泰在聖総領事)は「平成30年度在外公館長表彰伝達式」を5日、総領事公邸で行った。今年はブラジル日本移民110周年に際して同館活動を支援し、また、長年に亘って日系社会の発展に貢献してきた9氏が栄誉に浴した。
同日午前11時、受賞者の一人である尺八奏者・シェン響盟リベイロ氏が国歌「君が代」を奏で、雅な音色が余韻を残すなか、粛々と伝達式が執り行われた。挨拶した野口総領事は「日系社会が一体となって日本移民110周年を祝すことが出来た。協力して下さった皆さまに、深く感謝申し上げます」と話し、表彰状が授与された。
眞子さまノロエステご訪歴の立役者、ノロエステ連合日伯文化協会の安永信一会長は「皆のおかげで成功裏に終えることが出来た。110周年をきっかけに、距離的に遠いサンパウロ市日系社会や総領事館との関係が非常に近くなった」と話した。
来場者人数が過去最高の21万5千人を突破する大成功をおさめた県連日本祭り。実行委員長として牽引してきた市川利雄氏は「日本祭りはもはや県連だけのものでなく、サンパウロ市の祭りになった。それに応じて、協賛企業にとって価値あるものにするために、プロが行う祭りになってきた」と振返った。「家庭を忘れて仕事をしていて、女房からは怒られたよ」と笑いを誘いながらも、「若者が多く参加し、最高の祭りになった。我々もがんばったが、総領事館も相当がんばった。むしろ日系社会から総領事館を表彰しないといけない」と謝意をこめた。
拡大期のサンパウロ日伯援護協会を下支えしてきた足立操事務局長は「晴天の霹靂。私以上に貢献されている人はたくさんいる。表彰されるとは予測もしていなかった。賞を励みに援協を通じて日系社会に尽くしていきたい」と語った。
サンパウロ人文科学研究所が実施した「多文化社会ブラジルにおける日系コミュニティの実態調査」の責任者、細川多美子さんは「何の根拠もなく『コロニアは無くなっていく』と漠然という人もいる。だが、今後はこの調査に基づいてキチンと日系社会を語れる」と話した。
サンパウロ州儀典長だった経験を活かし、サンパウロ市やプロミッソンでの110周年式典の調整を行った福原憲二カルロス氏。日本食レストラン「藍染」の白石清水佑佳テルマシェフや、日本の要人の滞在支援をしたチボリ・モファレッジ・サンパウロ・ホテルの蓮沼勝子部長、ブルーツリーホテル&リゾートの広瀬純子部長も表彰された。
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ノロエステ連合日伯文化協会の安永信一会長は、今年8月にリンスでJCIとシンポジウムを初共催した例に触れ、「サンパウロ市の行事を地方で行うことで活性化への刺激になる」と話す。110周年を通じて緊密となったサンパウロ市日系社会や総領事館との関係を引き続き強化していきたい意気込みだ。来年2月にはカフェランジア平野植民地で「平野運平氏没百周年」、今年入植百周年を迎えた上塚植民地百周年記念誌刊行など重要な行事を控えている。眞子さまご訪問をきっかけに盛り上がりを見せつつある地方日系社会の勢いを、何とか継続させたいところだ。