セルジオ・モロ次期法相は、汚職や公金横領の撲滅のため、厳罰化を含めた法案改正プロジェクトを議会に提出する意向だ。だが、その中には一部、違憲のものも含まれており、その道のりは容易ではなさそうだ。13日付エスタード紙が報じている。
ラヴァ・ジャット作戦の判事で、汚職撲滅を強く望んでいることで知られるモロ次期法相は、贈収賄や公金横領の防止策として、受刑プロセスを変更することを考えている。この件は13日、ブラジリアでの州知事を交えた会合で語られた。
モロ氏が特に望んでいるのは、汚職または公金横領で断罪された被告の刑執行手順の変更だ。同氏は、汚職で有罪とされた被告の受刑は、全員、「禁錮刑(終日、刑務所にいる)」いわゆる「フェシャード」の状態で開始することを求めている。
ブラジルの刑法では、フェシャードの適用は実刑年数が8年以上の被告のみに限られている。ブラジルの場合、汚職や公金横領での実刑期間は、2年から12年であり、8年未満の実刑判決で終わることも少なくない。
実際、ラヴァ・ジャット作戦においても、これまで有罪となった219人の内、90人が、「セミ・アベルト(半日拘留=昼間は外出が許され、夜は刑務所に戻る生活)」か「アベルト(自宅軟禁)」との判決となっている。モロ氏は、これを厳しくすることで汚職対策としたい意向だ。
だが、次期法相の希望するやり方だと、汚職や公金横領による収監者の数が現在以上に増える。
また、受刑開始時は全員フェシャードにするという方策は、既に1度、違憲との判断が下されている。最高裁は2012年、6年の実刑判決を受けた麻薬密売者に対する人身保護令適用を審理した際、「受刑開始をフェシャードにするか否か」についても投票を行い、8対3で、判決通り、セミ・アベルトとした。
最高裁はこの際、量刑は個々人の罪状によって決まることを理由に、2007年に制定された凶悪犯罪法にある「被告の受刑開始はフェシャードで」という条文は憲法違反との解釈を下した。
また、刑法関係者の間からも、「はじめがフェシャードでセミ・アベルとに切り替えるという判決だと、簡単に減刑が行われやすくなる可能性がある」という意見も出ている。
モロ次期法相は、「2審で有罪の時点ですぐに刑執行」「陪審員裁判は第1審の判決後にすぐに刑執行」といった原則を全ての被告に当てはめることも希望している。抗告手段が尽きた時が刑執行開始の時と憲法上はみなされているが、前者は最高裁大法廷、後者は最高裁第一小法廷で各々、認められている。
また、知事たちはこの会合で、モロ氏に対し、刑務所の建設や整備に対する国の資金を、自動的に払いだすなどの形での援助拡大を求めた。