「日本文化を習得する活動等を通じて日本に対する理解や関心を深め、日本と現地日系社会との懸け橋となる人材を育成する」ことを目的とし、7月から施行された日系四世受入れ制度。開始から5カ月経ったが、同制度による査証発給数は1桁を超えていないようだ。来年3月までに4千人の日系四世を受入れるのを目標としていた同制度だけに、どこかで躓いていることは明らか。「大失敗」とまでは言わなくとも、「大幅な軌道修正は必要」ではないか。制度利用を望む四世や専門家に取材し、その解決策を探った。
在聖総領事館管轄で2人目の四世ビザ取得者となったデヴィド・ウェズレイ・コスタさん(28)は、訪日後、知人の受入れサポーターの会社で働いた後、IT企業に入社したいと考えている。ブラジルではエンジニア兼営業職として活躍しているそうだ。
「日本語能力、IT技術もある。日本に住み、その技術を学びたい。ブラジルへの帰国は考えていない」と訪日後の希望を語った。幼少期から小学生まで日本で過ごし、「中身は日本人だと思う」と自己分析する。
日本永住を決めているため、一般企業への入社を目指しているそうだ。「工場では働きたくない。スキルアップに繋がらないし、仕事を好きになることもないだろう」との考えを語った。
四世らがインターネットの使用に慣れた世代であることにも触れ、「二、三世と違い日本語学習の環境が整っており、訪日を考えている四世は熱心に日本語を勉強している。在日二、三世と日本社会との橋渡しの役割もできるはず」と力強く語った。
同制度については年齢制限と家族帯同不可という規則に「厳しすぎる」と意見を持っており、「訪日を希望する四世について理解が進んでいない印象」と語った。
12月に四世ビザ取得を目指す嘉村マジョリエさん(22)は、小学生から中学1年まで日本で過ごした。日本に住む家族が受け入れサポーターになるそうだ。20歳から日本語学習のため訪日し、9月に帰伯したばかり。「日本人の方が気が合う」と同制度の利用を望んでいる。
嘉村さんは日本での生活を望んでおり、査証が発給されれば就職先を見つけたいという。同制度の滞日期間や家族帯同不可などの規則も、「その内変更されると思う」と前向きに予測している。
「同制度はまだ始まったばかりで、四世側も政府も手探りの状態。日本政府が外国人を受け入れるのに準備が必要なことも理解できる。今は『お試し期間』として、与えられた条件の中でやっていくしかない」と語った。(続く、國分雪月記者)