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《ブラジル》社会保障制度改革=5人の新知事が強気な行動=議会での早期変更目指す=州財政への負担軽減狙う=ゲデスらとも1月に会合へ

ドリア氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Ag. Brasil)
ドリア氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Ag. Brasil)

 10月の州知事選で当選した新知事たちが、連邦議会での社会保障制度改革の承認を急がせるべく、動きはじめている。目的は、現在、州財政で最大の負担となっている地方公務員の社会保障費を削減するためだ。19日付エスタード紙が報じている。

 社会保障制度改革の早期承認のために動きだしたのは、サンパウロ州のジョアン・ドリア氏(民主社会党・PSDB)、ゴイアス州のロナウド・カイアード氏(民主党・DEM)、ミナス・ジェライス州のロメウ・ゼマ氏(ノーヴォ)、リオ・グランデ・ド・スル州のエドゥアルド・レイテ氏(PSDB)、パラー州のエルデール・バルバーリョ氏(民主運動・MDB)という、5人の次期州知事たちだ。
 彼らの目論見は、各州選出の議員らを動かすことで、次期政権が3月までに連邦議会に提出する予定の社会保障制度改革案をなるべく早く承認できる議員数を確保し、教員や警察官、消防隊員らも含む、州公務員の社会保障制度の変更をも実現させることだ。
 彼らがそれを求めている理由は、現在、全国の州で起きている財政破綻の最大の原因となっているのが、州公務員に対する社会保障費であるとの認識があるためだ。2017年は、州公務員への年金支払い額が、前年比14%以上、940億レアルも増えている。
 連邦、州、市を含む公務員の総数は、この20年間で83%と、人口増加率を遥かに上回るペースで増えている。さらに今後は国民の高齢化も進むため、現行法のままだと、社会保障費の負担がさらに重くなることが予想されている。
 社会保障制度改革は、テメル大統領も既に手がけていた。当初は軍警や消防士の年金の扱いが抵抗にあったため、同大統領は半年の期間をもうけて、各州議会に州公務員の年金制度変更法案を可決させるようにした。半年間で州単位での変更ができなかった場合も、連邦公務員のための規定を変更して、地方公務員にも適用する予定だった。だが、それが公務員たちの反対にあったため、エンリケ・メイレレス財相(当時)が変更を断念するという経緯があった。
 先の5人の次期州知事らは先週集まって会合を開いた。次の会議は1月の予定で、新たな知事も加わる可能性がある。また、この会議にはボルソナロ次期政権の経済閣僚、パウロ・ゲデス経済相、マンスエト・アルメイダ国庫局長、ロジェリオ・マリーニョ社会保障局長らも参加し、話を先に進めたいとしている。
 ドリア氏はエスタード紙に対し、「できるかぎり、すべてを変えたい。それが無理なら、部分だけでも」と強気の姿勢を示している。
 ただ、アルメイダ国庫局長は、「次期経済閣僚の間でも、受給開始年齢の設定などで意見が割れている」と語っている。

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