パウロ・ゲデス次期経済相が17日、リオ州工業連盟(Firjan)主催の年末昼食会の場で、「システマS(サービス・システム)にメスを入れなくてはいけない」と発言し、波紋を呼んでいると、17~19日付現地各紙・サイトが報じている。
システマSとは、社会商業サービス(Sesc)、全国商業職業訓練機関(Senac)、社会工業サービス(Sesi)、零細・小企業支援サービス機関(Sebrae)、全国産業職業訓練機関(Senai)など、頭文字にSの付く9機関の総称だ。
システマSは1940年代に創設され、全国農業連合(CNA)、全国サービス連合(CNC)、全国工業連合(CNI)など、民間企業の連合体が運営。職業訓練や社会扶助、相談所、調査、技術扶助、文化イベントや娯楽機会の提供などを非営利で行っている。各機関は公的機関ではないが、活動の性質から、連邦政府からの補助金を受けている。ゲデス次期経済相の発言は、補助金削減の意図がある事を示している。
国税庁特別局長就任が内定しているエコノミストのマルコス・シントラ氏は、「システマSへの補助金削減は段階的にではあるが、すぐに着手される。活動の多くは自由市場で代替される。システマSに政府から回る資金は、今の半分にする事が最終目標」と語った。
連邦政府から運営費の名目でシステマSに入っていた補助金は、企業が従業員の給与額に応じて政府に払った社会保障費が還付されていた。システマSに政府から入った資金の総額は今年が171億レアル、昨年が165億レアルだった。
公的予算管理の専門家からは、この金の使われ方が透明ではないとの批判もあがっていた。
CNA、CNC、CNIらは、発言当日はコメントを避けた。ジョゼ・タドロスCNC会長は、9月に会長に選出された際、次期政権においてもシステマSへの補助が続けられるよう努力すると語っていた。
SesiとSenacは18日に、「政府からの資金が減額されると、100万人以上の学生が職業訓練の機会を奪われ、1万8400人の職員の雇用が奪われる」と書面で抗議した。
ブラジル全体で230万人の学生に職業訓練の機会を提供しているSenaiのラファエル・ルッケージ会長は、システマSへの資金削減はシステム全体に破壊的な影響をもたらすとし、Senaiも全国541校中162校を閉鎖せざるを得なくなるとした。ルッケージ氏によると、最も影響を受けるのは北部、北東部地方だという。