今月18、19日にブラジル国内130の市に住む2077人を対象に行われた、調査機関ダッタ・フォーリャの調査で、国民の65%が「ブラジル経済は今後数カ月で良くなるだろう」と答えたと23日付現地紙が報じた。
この結果は新年から発足するジャイール・ボルソナロ(社会自由党・PSL)政権への期待の表れとも言え、前回8月の調査時より42%ポイント(%P)アップ。1997年の調査開始以来、最高の期待値となった。
「ブラジル経済が悪くなるだろう」と答えたのは9%で、31%から22%Pダウンだ。「変わらないだろう」は41%から24%へと17%Pダウンだった。
個人的な〃懐具合〃については、67%が「良くなるだろう」と答えた。これも、前回調査の38%と比べると大幅アップで、68%を記録した2013年3月以来の高い数値だ。個人的な〃懐具合〃が「悪くなるだろう」は14%から6%へ、「変わらないだろう」は44%から25%へとダウンした。
また、失業に関する調査でも、47%が「減るだろう」と答えた。これは、1995年の調査開始以降、03年6月、10年11月、13年3月の3回記録した、これまでの最高記録、41%を6%Pも上回っている。
「増えるだろう」は、前回の48%から29%へとダウンした。「変わらないだろう」は、前回の28%から7%P下がり、21%だった。
インフレに関しては、「上がるだろう」が54%から27%へと半減し、「下がるだろう」が11%から35%に増えた。「インフレが下がるだろう」が35%になったのは、15年以上前となる03年6月以来だ。
新政権発足直前の調査で、経済への期待感が高まることはこれまでも起きていたが、今回の期待値は、これまでと比べても高い。
「テメル大統領(民主運動・MDB)は、自分が政権の座に就いた時よりも、ブラジル経済をずっとましな状態にして次期政権に引き渡した」と、国内大手ブラデスコ銀行のカルロス・トラブーコ頭取は語っている
しかし、昨年5月のJBSショックや、その後の自身への告発阻止に政治力を消耗し、肝心の社会保障制度改革は、次の政権に持ち越された。
ブラジル国内で農業系金融事業を行うラボバンク(オランダ本社)のチーフエコノミスト、マウリシオ・オレンギ氏は、国際市場からの投資がブラジルに流れ込む必須条件である社会保障制度改革の成立は、早く見積もっても来年の下半期以降になると見ており、ブラジル経済の回復の足取りは段階的なままだろうとしている。