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《ブラジル》正直者の母に贈り物届く=貧困の中、財布を返す善行で

クリスマス用の食品セットを受け取るペレイラさん(26日付G1サイトの記事の一部)

クリスマス用の食品セットを受け取るペレイラさん(26日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ州内陸部リンスに住む7人の子持ちの女性が、500レアル入りの財布を拾い、持ち主に返した事で、感動した人々から思いがけない贈り物を受け取った。
 道で拾った財布を返した正直者の女性は、シモネ・アパレシーダ・ダ・シウヴァ・ペレイラさん(41)だ。ペレイラさんは息子の一人と市内を歩いていて、財布を見つけた。見つけた時、財布の口は開いており、中に現金が入っている事は人目でわかったという。
 彼女は動脈瘤と血栓症のために休職中で、2014年から治療を続けている。しかも、今年は2度の脳血管障害も起こしており、家族は、夫が稼ぐ最低給料(937レアル)と傷病手当から、生活費と治療費を捻出しなければならない暮らしを余儀なくされている。
 500レアルの家賃を払いながらの生活は苦しく、治療費や光熱費を払うために借金もした。だが、7人の子供にクリスマスプレゼントを買ってやる事さえ出来ずにいた中、他の人が物欲しげに財布を眺めているのに気づいたペレイラさんは、財布に駆け寄った後、息子に警官を呼ぶよう命じた。日頃から、「人様の物に手をつける事は出来ないし、お金を着服すれば夜も眠れない」と考えていた彼女は、財布の持ち主を探す事だけを考えたのだ。
 財布を受け取った警官は現金を数えた後、中に入っていた身分証明書から、持ち主のリリアネ・ナカムラさんを探し当てた。警官から連絡を受けたナカムラさんは、ペレイラさんが財布を拾った場所で財布を受け取り、すぐに謝礼を渡した。
 だが、この時の様子が22日付のメディアで流れたため、この謝礼で子供達へのプレゼントを買おうと考えていたペレイラさんに、思いがけない贈り物が届き始めた。
 23日には、市内の会社役員が、会社が年末に行うパーティ用に用意したクリスマス用食品セットを持参。市内に住む人達からも食料や、服や靴といった子供達へのプレゼントが届き始めた。
 正直者の母の善行に心を動かされたのは市内住民だけでなく、リオ州やマット・グロッソ・ド・スル州に住む人達がソーシャル・ネットワーク・サービスを使って集めた寄付金もペレイラさん名義の銀行口座に振りこまれたという。
 金銭的には例年以上に厳しかった今年。だが、ペレイラさんが自分の良心に従い、掛け値なしに行った善行は人々の心を動かした。クリスマスの晩餐や子供達へのプレゼントも諦めていた家庭では、ソファーや冷蔵庫が贈り物で埋まり、子供達が必要としていた品々も与えられるという、想像だにしなかったクリスマスが実現したという。(22、26日付G1サイトより)