2018年もブラジルでは大きなニュースが相次いだが、その中から特に大きなものを10選び、改めて紹介する。
1位はジャイール・ボルソナロ氏の大統領選勝利だ。同氏の勝利は、ただ単に「極右候補が勝った」という性質のものではなく、9月6日にミナス・ジェライス州で起きた刺傷事件や、入院時に同氏を嫌う女性有権者たちが起こし、全国的な規模となった抗議運動「エレ・ノン」などを経た、波乱に満ちたものだった。また、インターネット戦略がものを言った革新的な選挙でもあった。
2位はルーラ元大統領の実刑執行。2000年代の未曾有の経済繁栄を支え、国際的な評価も高かったルーラ氏の有罪、刑執行は国民の評価を2分。執行後も正式に却下されるまで、大統領選世論調査で1位になり続ける異例の事態を呼んだ。
3位は5月に発生し、長期化したトラック・スト。テメル政権下での燃料費値上げに端を発したストは、当初こそ国民の支持を得たが、組合員のふりをして入り込んだ右翼の政治団体が軍事介入などを叫び始めて泥沼化した。家畜の大量死や食料の大量廃棄などの問題が生じ、産業界に広く影響した。
4位は3月に起きた、リオ市議員マリエーレ・フランコ氏の殺害事件。ファヴェーラ出身の人権派の女性同性愛者ということで国際的にもヒロインとして注目されたが、極右市民による拒絶反応や遺族への嫌がらせなども社会問題化した。
5位は9月に起きたリオ国立博物館の火災。帝政時代からの建物や先史時代からの貴重な資料喪失に大きな衝撃が走り、文化維持費削減などが問題となった。
6位は2月に始まったリオでの軍による治安統治。五輪までにバブル化したリオ州での汚職横行と政治家の腐敗は財政や治安の崩壊を招き、地方行政も破綻した。
7位はサッカーW杯の準々決勝でのセレソン敗退。前回14年の自国開催準決勝での1―7から建て直し、優勝候補として臨んだ大会だったが、エース、ネイマールの髪型や転倒パフォーマンスには「自覚に欠ける」との批判も飛び、良いムードが作れなかった。
8位はラヴァ・ジャット作戦担当判事のセルジオ・モロ氏のボルソナロ政権入り。正義のイメージを作りたい同政権の顔だが、「これまでの裁判は中立だったのか」との疑問も沸き起こった。
9位は世界的心霊治療家ジョアン・デ・デウス氏の淫行告発と逮捕。少し前までの国際的な有名人が没落する、近年のブラジルを象徴する出来事だ。
10位は11月のサンパウロ市マルジナル・ピニェイロスでの高架橋段差発生事件。ブラジルの都市機能の危機と、いま一度の見直しの必要性を痛感させられた出来事だった。