大統領就任後初めてのインタビューに応じたボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)は3日、年金受給開始の最低年齢を男性62歳、女性57歳からとするという私案を披露したと4日付現地各紙が報じた。
テメル前政権が作成し、一昨年に下院投票直前までこぎつけるも、棚上げになっていた社会保障制度改革案の一部を利用してもよいのではないかと前置きしたボルソナロ大統領は、その後で、「テメル政権案では、男性65歳、女性62歳だった受給開始年齢は、男性62歳、女性57歳が望ましい」と語った。
現行制度では、「INSSを15年以上支払った上で、男性は65歳以上、女性は60歳以上に達する」もしくは、「年齢の制限なく、INSSを男性は35年、女性は30年以上支払う」ことで年金を受給できる。
この制度だと、10代半ばで働き始めた人は、INSSを規定年数さえ支払えば、女性は40代半ば、男性でも50歳前後から年金を受け取る事が出来る。
ブラジル社会の高齢化により、そうした人々への年金の支払いが増え続けている事が、国家財政への負担になっている。
「我々は任期末の2022年末までに社会保障制度改革を行いたい。『男性62歳、女性57歳』も、一気に引き上げるわけではなく、段階的だ。2023年以降に受給開始最低年齢を上げるかどうかについては、次の政権が財政状況を見て決めるべき」と語った。
ボルソナロ大統領は、制度移行期間の扱いや、都市労働者と農村労働者の区別、民間と国家公務員の区別などの詳細については語らなかった。
3日には政権発足後初の閣議も行われ、オニキス・ロレンゾーニ官房長官(民主党・DEM)は閣議後、「経済政策スタッフ(ゲデス経済相サイド)から、4日、または来週中にボルソナロ大統領に対して社会保障制度改革に関する提案が行われる」と語っている。今回のボルソナロ発言は、政権内の意思疎通が取れていないか、意図的にメディアに語り、世論の反応を見ている可能性もある。
また、ボルソナロ大統領は、公務員年金が国家財政の最大負担であることを認めつつも、昨年末にサンパウロ市議会が承認したように、公務員給与からの年金天引き率を11%から14%に上げるつもりはないと語っている。
「62/57案」には既に、反対の声が出てきている。連邦上院の相談役で、社会保障問題の専門家のペドロ・ネリー氏は、「大統領の語る62/57案では、現行の都市労働者年金、男性65歳、女性60歳よりも手ぬるい」とツイッターに投稿した。
また、「62/57案は、議会をまとめる難易度が低い代わりに、大した経済効果をもたらさないとの認識も、政権内部には存在する」と現地紙は報じている。
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