サンパウロ州は3日、同州総務局長に就任したばかりの、前科学技術相で元サンパウロ市市長のジルベルト・カサビ氏(社会民主党・PSD)の休職を発表した。「贈収賄工作などの疑惑を晴らすため」だという。4日付現地紙サイトが報じている。
カサビ氏はテメル前政権の閣僚からジョアン・ドリア新知事のサンパウロ州政権に参加する局長のひとりで、エンリケ・メイレレス財務局長(民主運動・MDB)らと並んで期待され、中でも、政局の調整、とりまとめを行う総務局長の任務を任されていた。
だが、カサビ氏は1日にサンパウロ市の州庁舎(バンデイランテス宮)で行われたドリア知事ならびに州閣僚の就任式に欠席。形の上では同氏の名前が報じられ、翌2日付の官報でも正式に就任が発表された。しかし、4日付官報では、カサビ氏が3日に休職を願い出たため、当面は職務を離れると報じられた。
4日付現地紙サイトによると、カサビ氏は既に、昨年の12月28日に就任と同時に休職との意向を表明していたが、正式に休職を申し入れたのは3日だった。
カサビ氏が休職した理由は、昨年12月19日に行われた連邦警察の捜査で、家宅捜索の対象となったことだ。この捜査は、食品大手のJBS社や親会社のJ&F社関係者が行った報奨付証言に基づいたもの。それによるとJBS社は、カサビ氏がサンパウロ市市長時代の2010年から、カサビ氏に便宜を図ってもらう必要が生じることを見越して、毎月35万レアルに及ぶ賄賂の支払を行いはじめた。賄賂の支払いは、12年12月に同氏がサンパウロ市市長を退いた後も、16年まで続けられたという。
J&F社元理事のリカルド・サウジ氏によると、この月ごとの贈賄で3千万レアル、また、2014年の大統領選の際にPSDがジウマ氏(労働者党・PT)を支援した際にも、PSD宛に2800万レアルの支払を行っていたという。
12月19日の家宅捜索では、サンパウロ市にあるカサビ氏の自宅から資金洗浄が疑われる現金30万レアルが見つかり、押収されている。
カサビ氏の広報担当は「本人は至って平静だ。現在は、疑惑に関する釈明を行うため、弁護士から求められた書類などを整え、送付する準備を行っている」との書面を発表している。
4日には、カサビ氏が休職中はアントニオ・カルロス・マルフ氏が総務局長を代行することも発表された。同氏は、サンパウロ市のブルーノ・コーヴァス市長の祖父である故マリオ・コーヴァス氏がサンパウロ州知事だった頃、総務局長をつとめた経験があり、サンパウロ市でも渉外局長をつとめたことがある。