ブラジル日本移民110周年記念事業の一環として、「リオ日本移民史料館」が12月15日、リオ日系人協会に落成した。これはリオ日系社会が寄付金を募り、約6万レをかけて建設されたもの。同地のブラジル日本移民110周年記念実行委員会(松浦實実行委員長)からリオ州に寄贈された。移民史料館の建設は同州では初。今後サイト上でも資料を閲覧できるよう情報拡充を図ってゆく見通しだ。
帝政時代にリオに上陸していた軽業師・竹沢万次をはじめ、後に和葡辞典を編纂する大武和三郎など、笠戸丸移民に先んじて日本移民の足跡を残す同州。史料館には、同州14市から史料が集められ展示された。
同日、テープカットで開館した落成式には、近藤健在リオ首席領事、リオ州日伯文化体育連盟の森巍理事長、リオ日本人協会の松浦實会長らが出席。長年連盟理事長を務め旧年5月に逝去した故鹿田明義氏の祈願であったことに触れられると、参加者に感激の輪が広がった。
同協会の栗原謙一郎副会長に拠れば、「史料館には傘下の14協会から集めた史料が展示されている。なかには1944年当時のリオ州日系人名簿など希少な史料も見つかった」と話す。
同史料館はリオ日本人協会会館内に設置されているが、情報発信強化のためインターネット上で「バーチャル史料館」(http://mhijrio.com.br/index.asp)の設置も進めているという。
サイトはすでに開設されており、リオ州日系主要団体、州内16都市の日系社会、周年事業等、リオ州各地の日系社会の歴史を網羅している。
栗原副会長は「史料館では場所が限られているので、インターネット上でさらに詳しい情報が得られるように公開してゆきたい」と話し、今後2、3年かけて充実させていきたい意向だ。
なお史料館では、新たに追加したい史料や情報がある場合には、随時サイトを通じて受付けている。開館時間は月~金曜日午前9時から午後4時、土・日曜日は午前10時から午後2時まで。