ボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)がグローボ局の市場寡占を弱めさせるためのプロジェクトに着手しているという。この背後には、同局と同大統領の間の対立が存在する。8日付フォーリャ紙が報じている。
ボルソナロ大統領は7日の国営銀行総裁就任式での演説で「最近、BV(テレビの広告収入)のことについて知ったのだがひどいな」と語った。
だが、ボルソナロ氏は既に、「広告収入の制限」に関する法案を連邦議会に提出する準備をしている。同法案の責任者は、2月から下議となる、元ポルノ男優で熱心なボルソナロ信者として有名なアレッシャンドレ・フロッタ氏だという。
「SBTやレコルデ、レデ、おそらくはバンデイランテスも含めた各局経営トップと話し合うことになると思う」と、フロッタ氏は語っている。
ブラジルのテレビ界におけるグローボ局のシェア(市場占有率)が圧倒的に高いことは否定できない。同局は2018年に35・9%のシェアを誇っているが、広告収入は120億レアルに及んでいるという。
2位はSBT局だが、シェアは15%で、広告収入は10億レアルに過ぎない。3位のレコルデ局は、シェア13・9%で15億レアルの広告収入。以下、バンデイランテス局が3・2%で4億レアル、レデ局が1%で2億5千万レアルとなっている。
だが、この法案作成の背後には、ボルソナロ氏とグローボ局との関係の悪さがある。グローボ局はかねてから、ボルソナロ氏にとって耳の痛い批判も行ってきている。
この傾向は報道番組だけではなく、同社が契約している司会者や俳優などの出演者にさらに顕著だ。ブラジルの場合、伝統的に芸能人は左派が圧倒的に多い。その多くは、ボルソナロ氏が選挙後も攻撃を続けている労働者党(PT)の支持者だ。
最近も、6日に放送された日曜夜のバラエティ番組「ドミンガン・ド・ファウスタン」の中で、名物司会者のファウスト・シウヴァが、ボルソナロ氏を直接名指しすることは避けながらも、「馬鹿」「くそったれ」といった意味の「イジオッタ」「インベッシル」との表現を使い、物議をかもしていた。同氏はその後、政治家一般を指して使ったと弁明している。
なお、アルゼンチンでは、クリスチーナ前大統領が、同氏への批判を繰り返す大手メディア・グループ、クラリンに対して、「寡占禁止」の名目で同局の持ち株を手放させる命令を出し、局内の強制捜査を実施するなどの攻撃に出た例がある。
タグ:PT アルゼンチン 写真ニュース グローボ ボルソナロ