パウロ・ゲデス経済相が、より厳しい社会保障制度改革案を来週にも提出する予定だという。先日、ボルソナロ大統領によって提言されたアイデアは政財界の不評を買っており、長期的な展望に立った、より完全な形の提案を行う意向だ。9日付現地紙が報じている。
ボルソナロ大統領が3日に語った説に従うと、男性は62歳から、女性は57歳から、年金受給が可能となる。
この提案でも、現行の「年齢の制限なく、INSSを男性は35年、女性は30年以上支払うことで年金を受給できる」という制度はなくなり、移行期間も短いなど、一定の効果はある。
だが、この年齢受給開始年齢だと、テメル政権が主張していた「男性65歳、女性62歳」よりもだいぶゆるいものとなり、連邦政府が目指している支出削減は、厳しい状態に置かれる。
さらに、同大統領は、「自分の在任中にこの年齢に移行する」として、それ以降の改革に関しては、2023年からの次期政権の課題だとした。
この発言には、少子高齢化に伴う年金負担の増大を懸念するブラジル財界から、不満の声が多く漏れていた。
ゲデス経済相とオニキス・ロレンゾーニ官房長官は、来週にも改革案を提出できると見ている。
同経済相は「現政権での社会保障制度改革は、より抜本的で厳しいものでなければならない」とし、官房長官も、「これから先、20年位はこの件を再審議しなくてよいものを望んでいる」と語っている。
ゲデス案の詳細はまだ公表されていないが、労働者自身が口座を開設してある程度の積み立てを行うことを求めるようだ。また、9日付のエスタード、フォーリャ両紙は、様々な経済学者の改革案を紹介している。
経済学者のアルミニオ・フラガ氏とパウロ・タフネル氏の案は、一般市民の年金受給開始年齢を、男性55歳、女性は53歳とした後、10~2年かけて、男女共65歳に移行させるという。また、2014年以降生まれの人には積み立て口座を作らせる案を出している。公務員は、受給開始が男性60歳、女性55歳、12年後は共に65歳となっている。
社会経済開発銀行(BNDES)のファビオ・ジアンビアギ氏の案も、一般市民の受給開始は男性60歳、女性57歳とした上で、12年間かけて、男性5歳、女性63歳に移行させるというもの。システム自体の変更は行わない予定だ。公務員の受給開始は、男性65歳、女性63歳だ。
フォーリャ紙は、ゲデス氏らの改革案は、男性55歳、女性53歳で受給開始とした後、10年かけて、この年齢を男性65歳、女性62~63歳にすると見ている。
他方、カルロス・アルベルト・ドス・サントス・クルス大統領府総務室長官が「軍人は別枠に」と申し入れるなど、公務員の対処をどうするかなどの課題も残されている。