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ベネズエラのマドゥーロが大統領に再就任=近隣主要国は独裁的と否認=グレイシPT党首「合法、合憲」

9日のマドゥーロ氏(Twitter)

9日のマドゥーロ氏(Twitter)

 10日、多くの国が反対の姿勢を見せる中、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領が、首都カラカスの最高裁判所で大統領就任式を行った。10日付現地サイトが報じている。
 マドゥーロ氏は昨年5月に行われた大統領選で当選したものの、反体制派はこの選挙への出馬も投票も放棄しており、投票率はわずか25・8%に過ぎなかった。
 マドゥーロ氏は先代のチャベス氏が逝去したことを受けた2013年の選挙に同氏の後継者として出馬し、大接戦の末に当選。15年12月に行われた議会選挙では、自党のベネズエラ統一社会党が野党に大敗した。
 だが、マドゥーロ氏はその後、チャベス氏の時代から続いていた独裁体制をさらに強めた。反対勢力の政治リーダーらが逮捕令状もなく逮捕されるケースが続き、抗議行動などで命を落とした人は約200人に及ぶ。
 さらに国内の政治混乱でインフレ率は天文学的数字に膨れ上がり、コロンビアをはじめとした周辺諸国への難民が、合計で300万人を超える状態となっている。ブラジルでも国境のロライマ州に同国からの難民が流入し、治安や保健衛生面での問題が生じている。
 こうした状況にもかかわらず、マドゥーロ氏は自身の家族や仲間で大半が構成された制憲議会を設立。今回の2期目に関しても、15年の選挙で選出された同国議会は当選無効を唱えたが、聞き入られなかった。
 米国や非左翼政権諸国ではここ数年、マドゥーロ氏の圧政が問題視されており、今月4日には米州機構内のリマ・グループに属する13カ国が、「マドゥーロ政権の成立を認めない」とする声明も出していた。
 だが、これに対し、マドゥーロ大統領は9日、「緊急の外交措置を採るぞ」と脅した上で、文書を送り「48時間以内に態度を変えるよう」訴えた。マドゥーロ氏はボルソナロ大統領のことを、「わが国の右翼どもに汚染されたファシスト」と呼んで批難している。ボルソナロ氏は元旦に行われた就任式でも、マドゥーロ氏への招待状送付を拒否している。
 10日のマドゥーロ氏の就任式には、キューバのミゲル・ディアス・カネル国家評議会議長やニカラグアのダニエル・オルテガ大統領、ボリビアのエヴォ・モラレス大統領ら、現在の中南米を代表する左派政治指導者が集まった。ブラジルからは労働者党(PT)党首のグレイシ・ホフマン氏が参加し、マドゥーロ氏の「当選は合法的で合憲」との覚書を公表した。
 マドゥーロ氏は就任式で「わが国は米国の衛星基地的な政府に囲まれており、世界的な戦争のど真ん中に位置している」と語り、対立する国々を強くけん制した。
 マドゥーロ氏の任期は6年で、2025年までとなっている。