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《ブラジル》銃規制問題=全国民の4分の3に影響=3485市で所有基準緩和か=スポーツ用所有、既に大幅増

アマゾナス州で押収された、大量の違法な銃(参考画像・Raphael Alves/TJAM)

アマゾナス州で押収された、大量の違法な銃(参考画像・Raphael Alves/TJAM)

 【既報関連】ブラジル連邦政府が今週中にも出す予定の、銃規制緩和関連の大統領令は、国民全体の4分の3に影響すると、12日付現地紙が報じた。
 ボルソナロ大統領は、殺人発生率が人口10万人あたり10人以上の市を大統領令の対象とする考えだ。現地紙の調査によると、これには国内全5570市中、3485市が当てはまる。これらの市の住民は合計1億590万人で、ブラジルの総人口の76%となる。
 連警は、銃の所有許可条件として、「前科がない」「心理テストを受けている」「射撃技術の認定証を有す」等に加え、所有希望者に「銃を所有する正当な理由」の提出を求めている。所有が許可されると、自宅もしくは商業施設に銃を保管する事が出来る。
 「殺人発生率が人口10万人あたり10人以上の自治体では、銃の所有許可基準を緩めるべき」とのボウロナロ大統領の発言通りになれば、この条件に該当する3485市では、銃所有許可がより容易、かつ、より早く出ることとなる。
 ブラジルの北部、北東部では、大多数の市が「殺人発生率10万人あたり10人以上」の基準に当てはまる。ペルナンブッコ州では全体の95・7%の市が当てはまり、以下、アクレ(95・4%)、アラゴアス(92%)、パラー(90%)、セルジッペ(89%)、セアラー(88・5%)、アマパー(87・5%)と続く。
 逆に、サンパウロ州、ピアウイ州、サンタカタリーナ州は、殺人発生率が10万人あたり10人以上の市は、各々、36・1%、39・2%、40%と低い。サンパウロ市は、州都の中で唯一、殺人発生率が人口10万人あたり10人未満だ。
 ただし、現地紙が調査に使った17年度の保健省発表のデータは、逃走犯の射殺など、警察による殺人が含まれていない。サンパウロ州、リオ州は警察による殺人が多くの割合を占めている。
 国内の暴力事件のデータを地図に落としこんだ「暴力発生マップ」を作成している応用経済院(Ipea)の地図作成班コーディネーター、ダニエル・セルケイラ氏は、「10万人あたり10人の市と、9人の市で対応を変える理由が不明だ。死因不明の死者も相当出ている。政府が本当に暴力発生件数を減らしたいなら、もっと科学的な証拠を重視すべき。銃規制緩和は燃える火に薪をくべる行為に等しい」と批判している。
 大統領令による銃所有の簡便化は、連邦警察が審査・許可する一般市民用のものだが、13日付地元紙によると、昨年の場合、陸軍による、射撃やハンティングなどのスポーツ用の銃所有許可は4万5501件で、連警による銃所有許可(2万7千件)を上回る。2014年のスポーツ用の銃所有許可数は4651件だから、5年でほぼ10倍に増えている。