【既報関連】リカルド・サレス環境相が14日、ブラジルがパリ協定に留まる意向である事を表明したと14、15日付ブラジル国内紙サイトが報じた。
サンパウロ州商用・住宅不動産売買・賃貸・管理業者組合主催の昼食会後に語ったもので、同協定に留まる事はボルソナロ大統領も了解済みだという。
2015年に承認されたパリ協定は、気候変動(地球温暖化)抑制に関する多国間協定だ。同協定に参加する国は、温室効果ガス排出量の削減目標を定め、それを遵守する事が求められる。
しかし、米国のトランプ大統領が同協定離脱を表明した(温室効果ガス排出目標などは他の機関により維持されている)事もあり、ボルソナロ大統領も、選挙キャンペーン中と当選後に、同協定が法定アマゾンの開発を妨げるならパリ協定を離脱すると発言した。
この発言は国際社会から批判され、メルコスルと欧州連合(EU)との自由貿易協定締結の遅れや、法定アマゾンを保護するための寄付金削除の可能性なども生じた。
環境相の発言は新政権発足後初の方針変更表明だが、同相は「気候変動抑制のための方策は、ブラジル企業に損失を生じさせない方法で導入される」と発言。政府内には今も意見の相違がある事や、「ブラジルにはどんな形で自国の領土を利用するかを選ぶ権利がある」事を認めつつ、「同協定に参加する事で受ける財政支援などを十分に評価する必要がある」と強調した。
国内法と国際協定との間の価値観の相違などは微妙な問題だが、12月18、19日実施のダッタフォーリャ調査では、「環境政策がブラジルの発展を妨げるか」の質問に同意したのは35%のみ。59%はブラジルの発展は環境政策には左右されないと考えている。
なお、環境相は、国立公園の管理運用権を民間企業に委譲すれば、開発が容易になるとした上、民間委譲により、環境保全や観光といった面が前進し、国民により大きな益をもたらすとの考えも示した。ただし、管理運用権委譲に関する入札や環境許可に関する基準変更に関する具体案はまとまっていないようだ。
ダッタフォーリャ調査では、開発関連の項目として「政府は先住民保護区を削減すべきか」との質問もあるが、これに対する回答は賛成37%、反対60%だった。