《ブラジル》ケイロス疑惑=ボルソナロ氏の長男が捜査差止請求=最高裁承認で波紋広がる=廃止求めたはずの特権利用?=支持者からも大きな落胆の声

最高裁のルイス・フクス判事は17日、ボルソナロ大統領の長男フラヴィオ次期上議(社会自由党・PSL)からの訴えを受け、同氏のリオ州議時代の元職員、ファブリシオ・ケイロス氏の口座への疑惑の振込みに関する金融活動管理審議会(COAF)の捜査を一時的に差し止める命令を出した。この件が大きな波紋を投げかけている。18日付現地紙が報じている。
ケイロス氏の口座に2016年1月から17年1月にかけて、同じくフラヴィオ氏の職員として登録されていたケイロス氏の妻や2人の娘からのものを含む合計約120万レアルに上る疑惑の振込みがあったことは、昨年12月にCOAFが明らかにした。この件は、リオ州議会で横行していたとされる、州議への毎月の贈賄スキャンダルと関連するものではという疑惑を生むと共に、フラヴィオ氏が複数の幽霊職員を雇っていた疑いもささやかれていた。
このスキャンダルで、ケイロス氏は「空口座」を意味する俗語「ラランジャ(オレンジ)」というあだ名をつけられた。その最中に、フラヴィオ氏が「フォロ・プレヴィレジアード(FP)」を盾に最高裁に訴え、それが受け入れられたために、ことが大きくなっている。
FPは議員の裁判権などを定めたもので、現在の規定だと、連邦議員の場合は「在任中に発生し、職務と関係のある件のみが最高裁管轄」となる。それに従うと、2月1日に上議となるフラヴィオ氏の州議時代の疑惑に関しては、最高裁では扱われないはずだ。
しかも、COAFが指摘したケイロス氏の疑惑の捜査は、現状ではケイロス氏のみが対象となっており、フラヴィオ氏は含まれていない。「自身への捜査でないものを、なぜ特権を利用して止めようとするのか」と、その矛盾を指摘する声が目だっている。
さらに、このFPは、父のボルソナロ氏がかつて、ビデオを通じて廃止を訴えていたものだ。また、ビデオではフラヴィオ氏も父の真横に映っていた。フラヴィオ氏の弟のエドゥアルド下議も、FP廃止を訴えていることで知られていた。
フクス判事は「今回の差し止めは報告官役のマルコ・アウレーリオ判事が戻るまでの暫定的なもの」としたが、アウレーリオ判事は「(休暇明けの)2月1日に処理するが、同種の苦情はいつもゴミ箱行きにしてきた」との見解を示している。
また、ロドリゴ・ジャノー前検察庁長官や、ジウマ元大統領の罷免請求を作成した弁護士でもあるジャナイーナ・パスコアル・サンパウロ州議(PSL)も、フクス判事の判断に疑問を呈した。
さらに、フラヴィオ氏のインスタグラムにはボルソナロ一家の支持者から「説明しろ」との苦情が殺到。同家にとって、これまでで最大のスキャンダルとなっている。