テメル前政権が行った滞納税回収計画(Refis)による、取立て減額分が474億レアル(約1兆4千億円相当)に達していたことが分かった。21日付現地紙が報じている。
Refisは、税金や、社会保障費など、民間企業が国庫へ滞納している分を、利子や罰金などを減額した上で、分割で回収するプログラムだ。
同政策は、大幅に膨れ上がった債務を、現実的な額に引き下げて、払わせることで、少しでも国庫を潤わせることを目的としている。
この政策の最終報告書によると、恩恵を受けた法人は13万1千社、支払い免除総額は474億レアルだった。免除にならず取り立てられる分は595億レアルで、最大175カ月(14年以上)の分割払いさえも認められた。
国庫などに借金がある議員を中心とした議員グループは、一昨年の2017年、Refisの条件を債務者側に有利にするよう、テメル政権(当時)に強く働きかけた。最終的に滞納の罰金は7割減額、利息は90%減額となった。
テメル政権の実施したRefisには税正常化特別計画(Pert)という特別な呼称がある。
労働者党(PT)政権時代も含めて、Refisはこれまでに6回行われているが、17年のPertの免除総額である474億レアルは、2008年から09年にかけてルーラ政権(当時)が行った、世界金融危機対策Refis第1弾の608億レアルに次ぐ減額だ。
これらのデータは既に国税庁(Receita Federal・RF)の特別局長、マルコス・シントラ氏の手に渡っている。
ボルソナロ新政権に交代後、パウロ・ゲデス財相は、国庫への債務の減額や長期にわたる分割払いを認めない方針を示している。シントラ氏は、これにより、国家歳入が増える事を期待していると語った。
同氏はまた、「国税庁として真っ先に伝えたい事は、『払うべきものは払ってもらう』だ。今後Refisを禁止する事に、私は賛成だ。企業は、国庫への返済努力を怠るようになる」と語っている。
同一企業が、何度もRefisの適用を受けたり、同じ債務を繰り越したりしている例も国税庁は発見している。また、これまでにRefisの適用を受けた法人の半数は、適用後に債務不履行に陥っている。Refis適用を受けた法人が債務不履行になると、国とその法人の間で交わされた、分割での返済の約束も反故になる。
これまでは常に、「14~16年の大型不況で苦境に陥っている企業をサポートすることで、業績が好転した際には設備投資もできるし、国への借金なども返せる」として、議会はRefisを承認してきた。しかし、Refis適用後に経常利益が増えているケース、つまり、国への支払いが免除されたり、先送りされたりした分が利益になっているケースも報告されている。