【既報関連】昨年の大統領選は無効との声が国内外で出ているベネズエラで21日、ニコラス・マドゥーロ氏の独裁体制に反対する兵士が反乱を起こしたが、全員が逮捕されたと22日付ブラジル国内紙・サイトが報じた。
ベネズエラ国防省によると、同国の治安機関の一つの国家警備隊(GNB)の軍曹が「マドゥーロ氏を大統領と認めるな」「国民も路上に出よ」と呼びかけるビデオを作り、21日未明にインターネットに掲載。反乱兵らはカラカス西部のGNB本部で佐官1人と兵卒3人を制圧し、武器と防弾車2台を盗んだ後、カラカス北部のコチザ大隊本部に向かい、さらに武器を集めようとしたという。
これに対し、体制派のGNB兵士や別の治安機関の兵士らが出動。ビデオを録画した軍曹ら、27人を逮捕した。国防省は、盗まれた武器も押収したと発表した。
今回の反乱は国民議会の呼びかけに応じたものだ。5日にマドゥーロ氏の当選無効を宣言した議会は、11日もマドゥーロ氏は大統領職を強奪したとし、フアン・グアイド議長を大統領代行に指名。新たな選挙を行うまでの行政権を行使するとの宣言と共に、兵士や公務員にマドゥーロ政権との決別を呼びかけた。
反体制派兵士の行動に同調した市民は、コチザのGNB本部前で、鍋叩き、車焼き討ちなどの抗議行動を起こした。体制派兵士は催涙ガス弾などを使って住民をひるませた上、反乱兵を逮捕したが、抗議行動はカラカスや周辺部に飛び火した。
21日から22日未明までに起きた抗議行動は30カ所を超え、ネット上では、火炎瓶を投げる様子や逃げ惑う市民を写した映像も流れている。同国では23日に全国的な抗議行動が計画されていたが、GNB兵士の反乱で抗議行動の一部が前倒しされたといえる。
他方、体制派の最高裁は21日、国民議会が今月下した決定を全て無効化した。
経済フォーラム出席のためにスイス滞在中のブラジルのボルソナロ大統領は21日、「ベネズエラが迅速に変化する事を望む」とし、マドゥーロ氏辞任を支持する姿勢を表明。22日の演説でも民主主義の擁護に言及した。