10日に大統領就任式を強行したベネズエラのニコラス・マドゥーロ氏に対し、同氏の再選は無効とする風潮が国内外で広がっていたが、同国国民議会のフアン・グアイド議長が23日、「自分が同国の大統領代行である」と宣言。米国やブラジルなどが次々にそれを承認している。
ベネズエラでは以前から、反体制派が23日にマドゥーロ政権に対する抗議行動を予定していた。また、21日には軍兵士の一部が反乱を起こし、「マドゥーロ氏を認めるな」「路上に繰り出せ」と呼びかけるビデオを流し、体制派の軍兵士らに逮捕される事件が発生。22日も反体制派の抗議行動が続いていた。
これに輪をかけたのは、22日のマイク・ペンス米国副大統領による、「マドゥーロ政権には合法性はない。米国はあなた方を支援する」というメッセージだ。
反体制派の動きは、4日にリマグループ(米州機構内の14カ国からなるグループ)が出した、マドゥーロ氏の再選無効、次の選挙までは国民議会に行政権を委譲、マドゥーロ政権への制裁措置導入などの決議以降、より具体的になった。4日の決議には、欠席したメキシコ以外の13カ国が賛成票を投じた。
5日には、国民議会もマドゥーロ氏の再選は無効と宣言。11日には、フアン・グアイド議長を大統領代行に指名。同議長も指名に応える意向を表明していた。
その後も、反体制派で亡命中の元最高裁長官が米州機構の代表と共にブラジルのボルソナロ大統領と会談し、ボルソナロ氏が全面支援を約束するなど、ベネズエラ国内外の動きはマドゥーロ氏排斥の方向に振れていた。
そこで行われたのが23日の抗議行動で、反体制派と体制派の双方が路上に繰り出したが、この時を利用し、グアイド議長が大統領代行就任を宣言。行政権を代行する事と、民主的な手法に則って総選挙を行う事、反乱を起こした兵士達への恩赦などを約束した。同国憲法では、大統領職を強奪する非民主的な行為が起きた場合は、国民議会議長が大統領職を代行できると定めている。
これに対し、真っ先に承認の意向を表したのが米国やブラジルだ。ブラジルによる承認は、外務省の文書とボルソナロ大統領のツイッターで確認された。マドゥーロ氏の再選を無効とし、新政権を承認しない旨を表明していた国や機関は、ブラジルをはじめとするリマグループや米国、カナダ、欧州連合、米州機構などで、米国の正副大統領、米州機構のルイス・アウマゴル議長はじめ、アルゼンチン、カナダ、チリ、コロンビア、エクアドル、パラグアイ、ペルー、グアテマラなどが次々に、グアイド議長を大統領代行として認める旨を明らかにしている。
他方、マドゥーロ氏はグアイド議長の大統領代行就任を即座に否定。各国が次々に同議長承認の意向を表明する中、米国との外交断絶を宣言。同国の外交官らには即時退去を命じた。
なお、23日の抗議行動では、体制派と反体制派の衝突も起きており、複数の死者も出ている。(23日付エスタード紙、フォーリャ紙、アジェンシア・ブラジル、G1サイトなどより)