ホーム | ブラジル国内ニュース | ベネズエラの議会がグアイド議長を大統領に=ブラジル含む16カ国が承認=マドゥーロ側は徹底抗戦へ=30日以内に選挙可能か?

ベネズエラの議会がグアイド議長を大統領に=ブラジル含む16カ国が承認=マドゥーロ側は徹底抗戦へ=30日以内に選挙可能か?

23日、群集を前に演説を行うグアイド氏(AsambleaVE)

23日、群集を前に演説を行うグアイド氏(AsambleaVE)

 ベネズエラでマドゥーロ政権に反対する国民の抗議デモが吹き荒れた23日午後、国民議会のフアン・グアイド議長が、群集の見守る街頭で、暫定大統領であることを宣言した。グアイド議長の暫定大統領就任は、24日午後3時までにブラジルを含む16カ国が公的に認めており、国が二分した状態となった。24日付現地紙が報じている。

 現時時間の23日13時44分(ブラジリア時間11時44分)、グアイド氏はカラカスのチャカオで演台に立ち、自身が暫定大統領であることを宣言した。同氏によると、この大統領職は暫定的なもので、向こう30日以内に大統領選を行うとの宣言も行った。
 今回、グアイド氏が暫定大統領を宣言した根拠は、1999年制定の同国憲法の二つの条文によるものだという。
 ひとつは、国が(憲法に反した行動で)混乱に陥った場合は、国民が秩序を回復させることができるというもの。もうひとつは、そのような状態に国が陥った場合は、国民議会議長が大統領を代行し、新たな大統領選を行うことができる、というものだ。
 この宣言直後、まず米国がグアイド氏を大統領として承認した。ブラジルも外務省の文書とスイスに滞在中のボルソナロ大統領の発言によって承認することを公言。さらに、エクアドル、アルゼンチン、コロンビア、チリ、ペルー、パラグアイなどの南米諸国が続いた。これらの国は米州機構のリマ・グループ参加国で、4日に既に、マドゥーロ大統領の再任を認めないとの決議を行っていた。
 ブラジリア時間の24日午後3時現在、ブラジルや米国、カナダ、及び、中南米、欧州の計16カ国がグアイド氏を暫定大統領として承認した。
 ベネズエラは昨年12月発表の時点で年間100万パーセントのインフレで国民生活が困窮。2015年以降、330万人の国民が亡命したと報じられている。国民議会の議員は15年12月の選挙で選ばれ、野党が圧勝したものの、マドゥーロ政権は17年に同氏の身内で固めた制憲議会を発足させ、国民議会を骨抜きにするなど、独裁ぶりを強めていた。
 ただ、グアイド氏の宣言後、直ちに、制憲議会や同国最高裁、同国軍が抗議を示した。さらに、マドゥーロ大統領自身も現地時間の16時30分に演台に立ち、グアイド氏を暫定大統領とは認めないと公言。さらに「米国が国を引き裂いた」として、同国との国交断絶を宣言。米国大使館に対して、72時間以内の国外退去を命じた。
 また、ロシア、中国、トルコ、ボリビア、メキシコなど7カ国がグアイド氏の暫定大統領を認めず、マドゥーロ氏支持を表明している。
 他方、アミウトン・モウロン副大統領は23日夜、大統領代行としてインタビューに応じ、ブラジルの外交方針からいって、「ブラジルがベネズエラの内政に介入することはない」とし、グアイド氏逮捕などの場合も「抗議するにとどまるだろう」との見解を示した。