【既報関連】ボルソナロ大統領と共にダヴォス会議に参加しているパウロ・ゲデス経済相は23日、現行の法人税率を平均34%から15%に引き下げる方針を示したと24日付ブラジル各紙が報じている。
同経済相は、財源として、これまで非課税、または、税率の低かった株主配当金への課税を検討している。経済相は、この目的を、「国外からの投資資金をブラジルに誘い込むため」と語った。この発言により、23日の為替は1・13%ドル安の1ドル=3・76レ、株価も1・53%高の9万6558ポイントで取引を終えた。
ブラジルが加盟を果たせていない、世界経済のエリート組織、経済協力開発機構(OECD)諸国の法人税率は平均23・8%で、ブラジルの34%はOECDトップのフランス(34・4%)に次ぐ数字だ。ゲデス経済相は「ブラジルも法人税率を下げなければ、国外資本はブラジルから出て行ってしまう」と語った。
上院付きの独立税制監査機関(IFI)のロドリゴ・オライール所長は、「企業に対し、利益をより大きく計上させ、配当を少なくさせる方向へと、ゲデス経済相の方策は作用するだろう」と語った。
ダヴォスで精力的に政権の経済政策PRを行っているゲデス経済相は、ロイター通信社とのインタビューで、「政府の社会保障制度改革案は、10年で1兆3千億レアルの歳出削減効果さえも望める。15年~30年に渡って政府の財政問題を解決できる」と発言した。1兆3千億レアルという数字は、テメル政権が当初提案した8千億レアル(その後譲歩して4800億レアル、それでも採決できず)を大きく上回っている。同経済相は3~5カ月間で、50もの国営企業を民営化するともぶち上げ、財政再建の姿勢を国外にアピールすることに必死だ。
23日は、社会保障制度改革に軍人年金を含めるか否かについても、ダヴォス、ブラジリアの正・副大統領双方から動きがあった。
ボルソナロ大統領は金融チャンネル、ブルームバーグのインタビューで、「軍人年金の問題は社会保障制度改革手続きの後半に」とした。
モウロン副大統領は、「INSSや受給開始年齢など、社会保障制度の根本を改革するには憲法改正が必要だが、軍人年金の改革は法改正で済む…」と語った。これは、「憲法改正が必要なINSSの制度改革をまず行い、法改正で実現できる軍人年金改革はその次」という意味に取れる。
新政権初の外交舞台は、基調演説への批判から始まり、ゲデス経済相の“大風呂敷”、隣国ベネズエラの政変とも重なるなど、波乱含みの様相だ。ブラジル政府団は25日に帰国するが、ボルソナロ大統領はその後、28日に行われる手術(昨年の刺傷事件後につけた人工肛門をとじるため)に備えた検査などを行う。