18日付の本コラムでコラム子は、「ツイテる状況はいつまで続く」と題して、大統領就任以降、風向きが良かったボルソナロ政権について書いた。それと同時に、「この状況が続かなくなる可能性」についても述べた。だが、コラム子の読みでは、「悪いことがおきるとすれば、2月1日に連邦議会がはじまって後のことだろう」と思っていた▼すると「よからぬこと」は17日の夜にすでにはじまっていた。それが、フラヴィオ氏が最高裁に、同氏の元運転手ファブリシオ・ケイロス氏への捜査を打ち切るよう願い出たことだ▼この話は、前回のコラムを書いた直後に入ってきた話だ。ケイロス氏は、同じくフラヴィオ氏が雇っていたとされる自身の妻や娘を含む人たちから120万レアルの謎の金銭受取で12月から問題となっていた。フラヴィオ氏はこれをもみ消すべく最高裁に打って出た。「これで問題がうやむやにされるか」とも思いコラム子はいったん事態を静観した▼だが、これが思ったよりも大きな事態となった。世間一般よりも、「ボウソミニオン」と呼ばれる、これまでボルソナロ一家にどんなスキャンダルが起きようが問題にせず常にかばってきていた人たちが騒ぎを大きくしたのだ。「どういうことなんだ。説明してくれ」。そうした強い要望がフラヴィオ氏のSNSに殺到した。彼らからしたら、汚職そのものよりも、その疑惑を権力を使ってもみけそうとしたフラヴィオ氏の態度が、彼らが強く否定したがっていた旧来の政治家と何も変わらなく見えたことが歯がゆかったのだろう▼すると、マスコミはこれに乗じるように、新たな疑惑を連日のように伝えていった。「フラヴィオ自身の口座に5日で48回の振込み」「ケイロス氏が自身の口座から700万レアルの金を動かしていた」と来て、22日には「フラヴィオ氏、マリエーレ・フランコ・元リオ市議殺害容疑者の母と妻を職員として雇っていた」だ▼つい数日前まで「幽霊職員を使っての汚職か」くらいで済んでいたものが、今や「リオ西部を仕切るミリシア(犯罪者による民兵組織)と関係か」というところまで急に話が大きくなってしまった。しかも、そのミリシアは、違法住宅の斡旋で有名な組織だという。ボルソナロ一族も不動産資産が急激に増加していることが何度も報じられていることから、この疑惑の関係は今後、さらなる火種になる可能性があり、気になるところだ▼その一方、父親のボルソナロ大統領は国際会議デビューとなった22日のダボス会議でスピーチがあまりに散々だったために世界中から酷評を受けた。スピーチ下手とはかねてから言われていたが、45分も持ち時間があったのに、4分の1も話せなかったのでは、内容以前の問題だ▼それに伴い、これまで上がる一方だった株価ははじめてのダウンを記録。さらには、下がり続けていたドルが上昇するなど、世界の金融財界から洗礼を浴びせられることとなってしまった▼コラム子の予想よりも早くネガティヴな面を露呈してしまった形だが、果たしてこれを来月以降、傷口の広げないで行けるのか。ここ数日のフラヴィオ氏のスキャンダルはあまりにもダメージが大きい気もするが。(陽)