【既報関連】23日にフアン・グアイド国民議会議長が暫定大統領宣言を行った後、ニコラス・マドゥーロ氏が「クーデターだ」と批判し、軍との一体化を誇示する行動などを見せている。抗議行動頻発などで不安定な国情を反映し、21日以降の死者は40人以上との国連の報告書も出たと24~29日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。
グアイド議長の宣言は反体制派の抗議行動の最中に行われ、マドゥーロ氏は即座に「クーデターだ」と反論。その一方、ウルグアイとメキシコが提案した仲介案を受け入れ、グアイド氏と対話を行う姿勢も見せた。
他方、米国やブラジルなどがグアイド氏を暫定大統領と承認する意向を表明したのに対し、中国やロシアなどが同氏を認めない姿勢を表明したため、米国が24日に国連安全保障理事会招集を要請。中国とロシアが拒否権を行使したため、全ての国がグアイド氏を承認すべしとの米国の主張は通らなかった。だが、26日には独、仏、英、スペインの各国が「マドゥーロ氏が8日以内に民主的な選挙を公示しなければ、グアイド氏を承認する」意向を表明した。
他方、グアイド氏は25日に暫定政権が最初に採用する予定の政策などを公表。軍もプロジェクトに参加するよう求めると共に、27日に行う抗議行動に1人でも多くの国民が参加するよう呼びかけた。また、暫定大統領宣言後、2千万ドルの人道支援の約束を得たとし、暫定政権は国民の金を盗む事を許さないとも宣言した。
他方、マドゥーロ氏や軍に圧力をかけるため、28日には米国がベネズエラの石油公社PDVSAへの制裁措置を発表。米国が購入した石油代金を振り込む口座を凍結し、民主的な手段で選ばれた政府によってしか引き出せないようにした。この措置で、ベネズエラの国外資産の内、70億ドルが凍結された。また、英国の銀行も、同国の金12億ドル分を差し押さえている。
だが、マドゥーロ氏は27日も軍兵士らとの訓練に参加し、軍との一体性を強調。軍の訓練への参加は2月半ばまで続けると宣言するなど、行政権を暫定政権に渡す気はない事を表明している。
国連関連機関によると、21~26日の抗議行動などで死亡した人は40人を超える。また、逮捕者850人中696人は23日に捕まった。内77人は未成年者で、12歳の子供達も含まれている。