【既報関連】ミナス州ブルマジーニョの鉱滓ダム決壊事故発生から5日目の29日、ダム所有者のヴァーレ社は、崩壊したダムと同じ工法で建てられた全てのダムを廃止し、それらのダムに近い鉱区での採掘も中止する事を決めたと、30日付現地各紙が報じている。
今回決壊したダムは、15年11月にマリアーナで決壊したダム同様、積み上げ式と呼ばれる、鉱滓(鉱山採掘の過程で発生する有毒な汚泥)量の増加に合わせ、堰(せき)を覆いかぶせるように積み上げていく工法で作られていた。
この工法は、前の堰の端とその堰によって堆積した鉱滓の上にまたがるようにして次の堰を造るため、新しい堰が小さくて済む。工費は安くて済むが、安全性は低い。
これらのダムの廃止に伴う費用は50億レで、ヴァーレ社の鉄鉱石採掘量は年間4千万トン(10%)低下する。
ヴァーレ社社長のファビオ・シュヴァルツマン氏は、ベント・アルブケルケ鉱山動力相、リカルド・サレス環境相らとの会合後、積み上げ式ダムの廃止を発表した。同社長は、現在も残っている積み上げ式鉱滓ダムは10基で、全てミナス州内にある事、これら10基の中には新たに鉱滓を受け入れていたダムは一つもない事を明言した。
同社はマリアーナでの事故以降、積み上げ式鉱滓ダムを段階的に廃止する方針だったが、ブルマジーニョでも事故が発生したせいで計画を前倒しし、今後1~3年で廃止する事にした。
現在、国内には2万4千基以上のダムがあり、その内790基が鉱滓ダムだ。
連邦政府は29日、決壊の危険性が高い、または決壊した場合の被害が大きいダム3386基を国家機関が監査すると発表した。この内の205基は鉱滓ダム(積み上げ式は70基)で、これらが最優先で監査される。だが、鉱滓ダムの管理を担当する国家鉱業庁(ANM)には監査官が35人しかおらず、早急に監査を終えるのは困難だ。
また、ミナス州保健局は28日夜、「流出した鉱滓に触れると健康に悪影響を及ぼしうる」と警告を発表。書面には、鉱滓に触れた食物を食べない事、鉱滓が流入したパラオペバ川の水に触れない事、同川の魚を釣ったり、食べたりしない事などが書かれている。
また、吐き気やかゆみ、めまい、下痢などの症状が出た場合は、近くの医療機関にすぐ報告し、鉱滓と接触したかも伝えるようにとも、呼びかけている。
事故現場周辺では、事故発生から6日目の30日も救出作業が続いている。同日昼過ぎまでに確認された死者は84人、その内身元が判明したのは67人、救出された生存者は192人、所在や無事が確認されたのは391人で、行方不明者は276人を数える。