25日に起きたミナス州ブルマジーニョの鉱滓ダム決壊の知らせは、世界中を駆け巡った▼土煙を上げながら流れる大量の汚泥が、人間や動物、建物などを容赦なくなぎ倒し、飲み込んでいく映像に、3年前のマリアーナでの事故を思い出した人も多いはずだ。だが、ブラジル国内紙やサイトで「俺達の川は死んだ」と嘆く先住民や、家族や友人を亡くしたり、血眼になって探したりしている人達の事を読むに付け、頭で理解出来ても、心と体がそこにはいないと痛感する▼件の先住民は、川底の石もはっきり見えるほど透明な川が、事故翌日から真っ赤になり、魚が大量に死ぬのを見て、先の言葉を発した。飲み水を得、沐浴をし、洗濯にも使う川の水が、得体の知れぬ汚泥で汚染され、普段なら食卓を潤す魚も、犬が食べて健康を損なわぬよう、焼き捨てているという。飲み水も食物も失った先住民の痛みや不安、死さえ覚悟したが救助された人や遺族の心の傷、家族を探す人の中で萎えていく希望などを共有しきれないのがもどかしい▼それにしても、3年前のマリアーナでの事故後の対応の遅い事! ヴァーレ社は古い手法を使ったダム19基中9基を既に廃止しているが、今回の事故は、古い手法だが危険度は低いとされたダムの廃止作業開始前(少なくとも終了前)に起きている。ダムの監査基準を厳しくする法案は一向に取り上げられず、ダム監査員の数も不足したままだ。〝少々の事〟では本気で対応する気になれない大会社や政治家の業の深さを感じる。3度目の事故発生を許し、多くの人を悲しみや苦しみ、不安に晒さぬため、現状や原因の分析や救助作業などと共に、早急な対策を願いたい。(み)