【既報関連】1月25日にミナス州ブルマジーニョで起きた鉱滓ダム決壊事故を受け、国連の人権問題報告官が1月30日、国内各地にあるダムの安全性を精査し、建設や操業の許可の手続きも見直すよう、ブラジル政府に要請したと同日付現地紙サイトが報じた。
報告官らは、既存のダムの安全性が保障されるまでは、新しい鉱滓ダム建設や既存のダムの安全性を脅かすような活動を認めない事も要請した。
他方、グスターヴォ・カヌト地域開発相は、90日以内に各種のダムの監査のあり方と監査基準を見直して提出する事と、ダムや所有企業に関する全国情報システム中の情報を更新する事を各種監査機関に要請し、30日付官報に掲載した。
連邦政府は1月29日に、決壊の危険性が高いダムや決壊が起きた場合の被害が大きいダム3386基を国家機関が監査する事を決めたが、監査内容には、現状精査と、撤去の必要の有無の判断などが含まれている。
地域開発相が出した要請は29日の決議内容を具現化するための第一歩で、各企業は90日以内に、各ダムに関する安全策や保守計画などを見直した上で作成した報告書を提出しなければならない。
1月29日に監査の対象とされたダム3386基は、国家水資源庁(ANA)の「ダムの安全性報告書」に基づいて選ばれた。
地域開発相の要請を受け、国家電力庁は1月30日、5月までに約130の水力発電ダムの監査を行うための特別班結成を決めた。この監査はサンパウロ州やリオ・グランデ・ド・スル州などの州関連機関と協力して行われる。国内の水力発電ダム616基中、437基が同庁の管轄下にある。
他方、緊急監査の対象となる3386基中、207基は国家鉱業庁管轄下の鉱滓ダムで、内70基は、ブルマジーニョやマリアーナで決壊したダム同様、積み上げ式と呼ばれる手法が使われている。チリなどは積み上げ式は建設禁止にしているが、今回の事故後、ミナス州もこの手法のダム建設を禁じる事を決めた。
ミナス州で最も危険度が高いのは、リオ・アシマの金鉱ミナ・エンジェニョのダムだ。同金鉱は11年末に活動を停止したが、ダムの鉱滓は放置されたままで、住民はマリアーナなどの二の舞になる事を恐れている。