連邦議会の議長選は、下院ではロドリゴ・マイア氏(民主党・DEM)が1日にすんなりと三選を決めた。しかし上院では1995年から上議を務め、今回3度の議長席を狙う老獪なレナン・カリェイロス氏(63、民主運動・MDB)に対し、2015年に上議になったばかりの41歳の若きダヴィ・アルコルンブレ氏(DEM)が真っ向からぶつかって当選を決める波乱が起きた。2~3日付現地紙が報じている。
「お前、そんなことをするな。この卑きょう者(Canalha)」―上院では1日、3度目の議長席を狙うレナン・カリェイロス氏は切羽詰まった様子で、選挙議会の議長として上院壇上の中央に座り込んだ若きアルコルンブレ氏にそう叫んだ。
アルコルンブレ氏は選挙議会議長として「秘密投票か、公開投票か」の投票を提案し、公開50票、秘密2票、棄権28票の結果となり、レナン氏を苛立たせたからだ。ラヴァ・ジャット作戦で6件もの容疑が上がっているレナン氏に票を投じたことが分かれば、その上議の評判に関わる。公開投票ではレナン氏に明らかに不利だ。
さらにレナン氏の盟友であるカチア・アブレウ上議(PDT)は、〝突撃隊〟のようにアルコルンブレ氏のところへ近寄り、議事進行予定が書かれた彼の帳面を無理やり取り上げる一幕までおき、その場に居合わせた同僚を驚かせた。激論が5時間以上も続いた時点で、上院議長選挙は翌日に持ち越して一時閉会した。その後、最高裁からは秘密投票を認める判決が出た。
翌日、最年長上議が選挙議長となり、秘密投票で上院議長選挙が行なわれたが、なぜか82票が投票された。81人しかいないため、再投票となり、次々に自分の票を周囲に見せ付けてから投票する行動にでたため、レナン氏は2度目の投票の途中で立候補を辞退し、アルコルンブレ氏が過半数を超えた44票で堂々の勝利を飾った。ただしアルコルンブレ氏も選挙違反等を2件抱えており〝真っ白〟ではない。
これでオニキス・ロレンゾーニ官房長官をはじめ、連邦政府に3人の閣僚を擁すDEMの連邦議会内での影響力が強まった。同党は下院で11位、上院で4位と多数派政党ではないため、これは異例のことだ。
だが、議会内で影響力の強いレナン氏が反ボルソナロ派に回ることが決定的になったことは、社会保障制度改革などの政策運営上、苦しくなるという声もある。
下院議長選の方は、16年7月から議長を続けているマイア氏が、全体の3分の2近くを占める334票を獲得し、大差で当選した。この背景には、ボルソナロ大統領の社会自由党(PSL)が支持に回ったことが大きかった。さらに中道連合の「セントロン」や民主労働党(PDT)ら左派の一部も支持に回ったことから強いとの前評判だった。