パラナ州連邦地裁で6日、ルーラ元大統領のサンパウロ州アチバイアの高級別荘を介した贈収賄疑惑の第1審が行なわれ、12年11カ月の実刑判決が下された。ルーラ氏は昨年4月からサンパウロ州グアルジャー高級三層住宅を介した収賄容疑で服役中。今回も2審目有罪なら刑期が延長しそうだ。7日付現地紙が報じている。
セルジオ・モロ氏が法務大臣になって抜けた後釜におさまったガブリエラ・ハルト判事。彼女は判決文で、OAS社、オデブレヒト社、シャヒン社3社からの合計で100万レアル相当の収賄を、ルーラ氏はアチバイアの高級別荘の改築費を負担してもらう形で行なったとの見解を示した。金額はシャヒン社長のジョゼ・カルロス・ブンライ氏が15万レアル、オデブレヒトが70万レアル、OASが17万レアルとされている。
このアチバイアの別荘の所有はフェルナンド・ビッタール名義となっているが、ハルト判事は、ビッタール氏とルーラ研究所とのメールのやりとりから「2014年以降、別荘はルーラ家のものだと認めた形跡がある」とした。
中央労組の大物であるビッタール氏の父がルーラ氏の長い友人で、契約名義に関してはルーラ氏の弁護士ロベルト・テイシェイラ氏が関与したのではという疑惑が持たれていた。
またハルト判事は、ルーラ氏が得た100万レアルは、ペトロブラス社との事業締結で得た恩恵の見返りとして、3社がルーラ氏に支払ったものだと判断。ルーラ氏を同公社内で横行していた贈収賄工作の黒幕的存在と見なした。
今回の判決でマルセロ・オデブレヒト被告を初めとしたオデブレヒト社の5人の被告、報奨付証言で今回の疑惑を証言したOAS社元社長レオ・ピニェイロ氏、同じくOAS社のパウロ・ゴルジーニョ氏、ブンライ氏、ビッタール氏、テイシェイラ氏が有罪判決を受けた。工事担当者のロジェリオ・ピメンテル氏は無罪となった。
この有罪判決を受け、ルーラ氏の担当弁護士のクリスチアーノ・ザニン・マルチンス氏は「判決の根本に政治的迫害がある。無罪の証拠として提出した内容が一切考慮されていない」と控訴する構えを見せ、国連への提訴も辞さないことをほのめかした。
ルーラ氏は第4連邦地域裁(TRF4)の2審でも有罪となれば、刑期がさらに延長される。
またグアルジャー、アチバイアの件以外でも、サンパウロ州、パラナ、連邦直轄区でそれぞれ1件ずつの3件の裁判をかかえ、さらにもう10件ほどの疑惑も浮上している。