ゴイアス州知事のロナルド・カイアド氏(民主党・DEM)が4日、ジアス・トフォリ連邦最高裁長官に対し、州職員の時間短縮(時短)労働と引き換えの給与削減措置を認めるよう訴える請願書を渡したと、8日付現地各紙が報じた。この請願書にはゴイアス州の他に、ミナス、リオ・グランデ・ド・スール、パラナ、パラー、アラゴアス、マット・グロッソ・ド・スール各州の財務長官が署名している。
景気による税収の増減と関係なく、どんどん増加する公務員給与の支払いが州財政を強く圧迫した結果、27州(連邦直轄区含む)中の7州が財政非常事態宣言(calamidade financeira)を発令する事態に陥っている。公務員の給与削減によって財政均衡を保つ以外の解決法が難しい中、憲法では給与削減が違法と規定されているため、実施できない。
財政責任法では「職員給与支払い総額は、当該自治体の税収の6割を超えてはならない」と規定されている。そのため、6割を超えた自治体は「財政非常事態宣言」を出すことで、「非常事態だから6割を超えても仕方ない」という法的猶予にすがるしかない。
ただし財政責任法には、規定を守るためには職員の就業時間を減らして、支払い給与も削減する措置を認めている。しかし、「時短労働、給与削減措置は違憲」としてブラジル共産党(PCdoB)、労働者党(PT)、ブラジル社会党(PSB)が、憲法違反直接訴訟(ADI)を起こしており、州職員の時短労働、給与削減は実行されていない。
同件に関する最高裁の審理は27日の予定で、報告官はアレシャンドレ・デ・モラエス判事。
「今や各州の財政は税収の7割が人件費に消える状態。他をどんなに切り詰めても限界がある。人件費に切り込まなくてはどうにもならない」と語るのはリオ・グランデ・ド・スール州知事のエドゥアルド・レイテ氏だ。
ゴイアス州財務局長のクリスチアーネ・シュミット氏は「最高裁判事に窮状を訴えることが請願書提出の目的」とし、「今こそ、州財政改善のためには職員の時短労働給与削減が不可欠であると最高裁にも社会にも訴えたい。もしこれが認められなければ、我々行政は最も基本的なレベルの住民の要望に応えることもできない」と語った。
カイアド知事は、「リオ、セアラー州も同じ考えだ」と述べたが、両州の立場は確認されていない。サンパウロ州財務局長のエンリケ・メイレレス氏も署名する意思があったが、時間的制約により署名に至らなかった。
ただし、ブラジル公務員連盟(CSPB)のジョアン・ゴメス会長は、「請願書の提出に大いに困惑、憤慨している。州職員の時短労働、給与削減は完全に違憲」と語り、CSPBとして逆の働きかけを最高裁に行う計画があると明かした。