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緑内障とは=在ブラジル日本国大使館 参事官兼医務官 岡本洋幸

岡本洋幸医務官

岡本洋幸医務官

 緑内障とは、目の奥の視神経が弱ってしまう病気で、弱った分、視野が狭くなり、末期には失明に至ることもある病気です。緑内障の進行には眼圧が関係しています。日本人の眼圧はおおむね10~20mmHgが平均的な範囲です(アメリカ人、その他の国の方も大差はありません)。
 眼圧が高いと悪化進行のリスクが高まるため、眼圧に応じて点眼薬、レーザー治療、手術治療などが必要になります。日本における2016年の視覚身障者手帳の交付状況の調査では、第3位が糖尿病網膜症、第2位は網膜色素変性症、第1位が緑内障で、中途失明者の最も大きな原因となっています。
 緑内障には大別して「急性発作」と「慢性経過」のものがあります。急性発作は、ある日急に発作的に眼圧が上昇(40~70mmHg程度)し、放置すると2週間で失明に至るもので、最初は霧視(見え方がかすむ)で始まり、そのうち目が痛くなり、頭痛や吐き気を伴います。この場合は、その日のうちに医療機関を受診し、眼科で適切な処置を受ける必要があります。
「慢性経過」は発作とは逆で初期は見え方に不自由を感じる事もなく、痛みもありません。(時に片頭痛を伴う方がいます)眼圧は正常範囲よりも高い場合(20mmHg以上)もありますし、平均的な範囲(10~20mmHg)の事もあります。
 自覚症状が無いため、初期は検診での眼底カメラ検査で発見されることもありますし、メガネやコンタクトレンズ作成のため、あるいは花粉症のために眼科を受診し、偶然発見されることもあります。
 その場合は、目の奥の「視神経乳頭」というところが凹んでいる事が多く、その場合は、引き続き、視野検査を行い、緑内障の程度を評価することになります。
 緑内障は進行性(徐々に悪くなる)でかつ不可逆性(元には戻らない)病気ですから、自分で見え方がおかしい、と思って眼科を受診したころには相当悪化していることが多いので、自分ではおかしいと思わない時期に発見されれば、早期に治療を開始できます。
 40歳以上の5%が患者さんです。40歳を過ぎたら一度は眼科を受診し、眼底の検査を受ける事をお勧めします。
 尚、この見解は個人の見解であり、所属する団体の見解ではありません。