2014年には2万人を切っていた全伯の日本語学習者が、わずか3年間で3080人も増え、2017年には2万2993人になっていたことが、国際交流基金サンパウロ日本文化センター(洲崎勝所長)の調べで分かった。また全学習者の3分の1が非日系人になっている可能性があり、その分、文協や個人が経営する日本語学校に通う日系生徒数は減少の一途をたどるばかりのようだ。ブラジルの日本語教育の在り方が、日系子弟から非日系人へと質的な変化を遂げている。
同基金の「ブラジルの日本語教育/初等・中等・高等教育」調査結果によれば、ブラジル全体の日本語学習者は09年に2万1376人だったが、14年には1万9913人と2万人台を割るほどに減った。
長年日本語教育に携わるブラジル日本語センターの鶴田広子教務主任は、14年に激減した理由を「リーマンショック後に激増したデカセギ帰りの日系人が卒業し、生徒が減った。それに合わせて、高齢化していた一世の日本語教師があちこちで学校を閉めたことも影響」と説明する。
しかし、近年の日本語ブームにより、非日系人学習者が増加している。特にブラジリア連邦直轄区、サンパウロ州、パラナ州など州教育局が公教育で日本語教育を導入している地域は順調に伸びている。
最も学習者数が多いサンパウロ州に事務所を置く同基金の山雄起副所長は、「2010年にサンパウロ州と一緒に教科書を作ったのが大きい」と拡大したきっかけを語る。「基金が教授法の指導を行うので、教師も成長しやすい」と支援体制が充実している事も普及の理由に挙げる。
特に初等中等教育の日本語学習者数は断トツに伸びており、公立校の日本語学習者は、全国で1540人(09年)から4916人(17年)と3倍以上に増加。私立学校でも、同時期に2098人から3461人に増えた。
非日系だけを見ると公立・私立校合わせた学習者数は、2009年の2231人から、2017年の6520人へと約3倍に増加している。
日伯文化連盟や、ブラジル最大の日本語学校といわれる西部アマゾン日伯協会(マナウス、約700人)の学習者の多くが非日系人であることを考えれば、実は全学習者約2万3千人の約3分の1、7千人あまりはすでに非日系人になっている可能性がある。かつて9割以上が日系人だった時代からすれば、隔世の感がある数字のようだ。
ただし、その分、日系人を生徒の中心としていた従来の日本語学校に通う学習者数は減少の一途を辿っている。非日系人の生徒を取り込めない地域では、継続がますます厳しくなっているのが実状だ。