ジウマール・メンデス最高裁判事は8日、「自分と家族が、言われのない嫌疑で捜査対象になっている」とし、捜査機関の意図と、情報漏えい者は特定するための緊急措置をとることをジアス・トッフォリ最高裁長官に要請した。8、9日付現地各紙・サイトが報じた。
8日付けの雑誌ヴェージャは「メンデス判事に汚職、資金洗浄、私有財産隠匿、収賄の疑いありとして、ブラジル国税庁の監察局が昨年より捜査を始めている。メンデス判事の妻で弁護士のギオマール・メンデス氏も捜査の対象」との記事を掲載した。
同誌は「記事の内容は国税庁スタッフによるリーク」としている。
記事では、「メンデス判事は賄賂の見返りとして、自分の妻が所属する弁護士事務所がかかわる案件に関して、裁判手続きや、判決内容に手心を加えていたと国税庁の捜査スタッフたちは言っている。メンデス判事の妻が所属する弁護士事務所、また企業は資金洗浄の温床にもなっていた」と書かれている。さらには「判事には、15年時点で、出所不明の6億9630万レアル相当の財産があった」との18年5月付の報告書の存在も明らかにしている。
メンデス判事は、記事の内容は事実無根であるだけでなく、仮に捜査が始まっていたとして、内部職員がリークしたこと自体が問題だとし、ジアス・トフォリ最高裁長官に緊急措置実施の要請を出した。
トフォリ長官はパウロ・ゲデス経済省、ラケル・ドッジ検察庁(PGR)長官らに対し、とりうる全ての手段を講じるように要請した。
緊急措置実施の要請書の中で「(記事によると)国税庁の捜査担当者はいかなる事実にも基づかない、ただの推論に基づいた行為を行っている。被害を受けているのはブラジル司法界全体」とメンデス判事は表明し、「国家機関、監査機関はゲシュタポ(ドイツのヒットラー独裁体制下の秘密警察)のようになってはいけない」ともインタビューで語った。
メンデス判事はさらに、「“正体不明の国税庁監査スタッフ”が、私と私の家族が、汚職、資金洗浄、私有財産隠蔽、収賄を行った疑いがありと捜査しているとの報道があるが、すべては偽り。名前も明らかにできない人物が言うことを基に捜査が行われていたならば、捜査自体が犯罪的」とも、メンデス判事は語っている。
同判事はまた、ヴェージャ誌に漏れた文書には、具体的な事実は何も書かれていないとし、文書の流出させた人物の特定も求めている。
ヴェージャ誌の記事は、国税庁内部も困惑させており、「収賄は、そもそも国税庁の捜査管轄外」と職員の一人は語っている。