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東西南北

 9日付けエスタード紙の表紙には「過去から学ばない国」という強烈な見出しが躍っていた。これは、フラメンゴの宿泊所火災のことのみならず、1月に起こって現在まで165人の死が確認されているブルマジーニョの鉱山ダムの決壊事故、昨年のリオ国立博物館の火災、2013年に242人の死者を記録したリオ・グランデ・ド・スウ州のライブハウス「KISS」の事故などだ。いずれも、事前に安全基準に沿った防災対策をしていれば防げていた「人災」ばかり。今回ばかりは、少しぐらい過去から学ぶ?
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 今回のフラメンゴ宿泊所火災は、OBのジーコをはじめ、国内の世界的サッカー選手も反応し、世界的関心を高めている。すでにペレやロナウジーニョなどが公式で追悼の言葉を捧げている。どんな一流選手であっても、子ども時代に友達と楽しみながら、明日のスター選手を夢見ながら育った日々はかけがえのない思い出となっているもの。それだけに痛みもわかるのだろう。「未来のネイマール」が火事で死んだかもしれないと思えば、ブラジルサッカーの未来のためにも、再発だけは絶対に避けてほしい。
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 今回火災を起こしたフラメンゴの養成所育ちで、イタリアの名門ACミランに移籍したばかりのルーカス・パケタが10日、対カリアリ戦でイタリア初ゴールを見事に決めた。その瞬間、パケタはこぶしを高くつきあげ、手首にはめた黒い喪章にキスをし、フラメンゴの犠牲者たちを追悼した。犠牲者のためにも、生き残った選手たちは気持ちを立て直し、プロへの階段を駆け上ってほしいところ。