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《ブラジル》著名キャスター、リカルド・ボエシャがヘリで墜落死=タブーなし、厳しい批評で有名

ボエシャ(Rafamaxpires, via Wikimedia Commons)

リカルド・ボエシャ氏( Wikimedia Commons)

 

 ブラジルを代表するジャーナリスト、ニュースキャスターのリカルド・ボエシャ氏(66歳)が11日、サンパウロ市のアニャンゲーラ高速道で、搭乗していたヘリコプターの墜落により死亡した。彼は国内で最も信頼されているジャーナリストの一人だった。11日午後から翌日まで、ブラジルのあらゆるメディアはこのニュース一色になった。

 事故が起きたのは11日午後12時15分頃。ボエシャ氏はカンピーナス市のロイヤル・パーム・プラザ会議センターで講演した後、ニュース番組に出演するためにバンデイランテス局のあるサンパウロ市西部モルンビにヘリコプターで戻ろうとしていた最中だった。
 だが、65キロほど飛んだところでヘリコプターは緊急旋回をはじめ、やがて墜落した。
 ヘリコプターはアニャンゲーラ高速道の7キロ付近で緊急着陸しようと試みたが、ちょうどそこを通りかかったトラックの前方部分と衝突を起こした。この事故でボエシャ氏とヘリ操縦士の2人が死亡。トラック運転手は負傷したが軽症で済んだ。
 トラック運転手は「料金所から出てきてすぐにヘリコプターが落ちて来たので避けようがなかった」と語っている。地面に激突したヘリコプターは爆発し炎上。道路には粉々になった機体が散乱した。このヘリコプターは「ベル206B」と呼ばれる種類のもので、1975年製だった。
 1952年にアルゼンチンのブエノス・アイレスでブラジル人外交官の息子として生まれたボエシャは、70年代からオ・グローボ紙、エスタード紙などの主要な新聞でジャーナリストとして働き、1997年からはグローボTV局の朝の看板番組「ボン・ジア・ブラジル」でコメンテーターをつとめ、04年から現在に至るまでバンデイランテス局のテレビとラジオの報道番組でキャスターとして活躍。
 狂信的な信者の反発を恐れて、一般メディアからはタブーになっていたペンテコスタル派の大物シラス・マラファイア牧師を相手取り、2015年から宗教絡みの犯罪にも厳しく切り込み話題を呼んでいた。政治でも党派に関係なく厳しい批判を浴びせることで知られ、労働者党(PT)政権時代にはルーラ、ジウマの両大統領に厳しい意見を浴びせ、ボルソナロ現政権にも歯に衣着せぬ論陣を張っていた。
 国内ジャーナリスト最大の栄誉「エッソ賞」を3度受賞したほか、コムニカ・セ賞では史上初めてテレビ・キャスターとコラムニスト、ラジオ・キャスターの3部門を同時受賞した。国内最高のジャーナリストとの評価もある人物だった。