ボルソナロ大統領の社会自由党(PSL)で、ミナス・ジェライス州での幽霊候補疑惑に続いて、ペルナンブッコ州でも昨年10月の選挙での政党基金の不正横流しの疑惑が浮上した。ペルナンブッコ州の場合は党首にも絡むもので、問題がより大きくなっている。フォーリャ紙10日付が独占で報じた。
40万レアル(1200万円相当)もPSLの政党基金から選挙助成金として受け取っておきながら、マリア・デ・ルルデス・パイション氏(68)は、フォーリャ紙から使い道を問われて「よく覚えてないわ」と答えた。
この金額はPSLの同基金から支払われた選挙資金としては3番目に多いにも関わらず、得票はたった274票だけ。立候補の実体がないのに選挙助成金だけうけとった“幽霊候補”の疑いがかけられている。
ちなみに同党の女性候補で最多得票は、サンパウロ州選出下議のジョイセ・ハッセルマン氏の107万9千票だが、選挙助成金は10万レアル(300万円相当)だけだった。
パイション氏には選挙資金として10月3日に40万レアルが党本部宛に支払われている。「使った金額の90%はレシフェ市内にある印刷会社に払った」と申告していたが、フォーリャ紙がその印刷所の住所を訪ねたら、そこはただの駐車場に過ぎなかった。
さらにペルナンブッコ州議選に、8月までPSLで働いていたエリカ・シケイラ氏という女性が出馬し、1315票しか獲得できなかったものの、マリア氏同様に「印刷会社に使った費用」として5万レアルを申告し、2万5千レアルが支払われている。
この問題が注目を集めているのは、同州がPSL現党首のルシアーノ・ビヴァール下議のお膝元だからだ。政党基金の分配を担当したのは、同党創設者で、現在はボルソナロ政権で大統領府総務室長をつとめているグスターヴォ・べビアーノ氏。今後、党重鎮である両氏への追及も含めて、連邦警察や地方検察局は捜査の準備に入り始めているという。
なお6日付本紙では、昨年10月の選挙でミナス・ジェライス州でPSLから出馬した4候補に払われた政党援助金が、同党州支部長だったマルセロ・アルヴァロ・アントニオ氏(現観光相)の側近の人物の企業などに27万9千レアルが横流しされていた疑惑は報じた。同じ構図の疑惑が党幹部によって、ペルナンブッコ州でも起きていたことで、組織的な動きを疑われそうだ。