【既報関連】14、15日付本紙でも報じた、昨年の統一選での社会自由党(PSL)の幽霊候補擁立疑惑に関して、ボルソナロ大統領の次男カルロス氏が選挙時に党首代行だったPSLグスターヴォ・ベビアーノ大統領府総務室長を追及したことに関し、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)や軍出身の閣僚たちが、べビアーノ氏を擁護する動きに出ていると、15日付現地紙が報じている。
「べビアーノ氏は嘘つきだ」とカルロス氏がツイッターで追及し、「もしベビアーノが汚職関与なら更迭」とボルソナロ大統領がレコルデ局のインタビューで語ったことで、ボルソナロ政権は内部分裂の危機を抱えている。
これに対しロドリゴ・マイア下院議長は、「私の印象では大統領が息子を使ってべビアーノ氏を追い出そうとしているように見える。もう連邦下議じゃなく、大統領なんだから」とボルソナロ親子を批判した。さらに「もし彼(ボルソナロ)が何かの問題に直面しているなら、彼自身が直面して解決すべき。私の見方では、家族を混ぜると解決が困難になる。今回のことは、皆に対して不安定感を伝える政治的なシグナルになっている」とつけ加えた。
議長の厳しい言葉の背景には、今政権最大の課題である社会保障制度改革の法案提出が来週に迫っている状況がある。G1サイト電子版によれば14日朝、マイア議長はパウロ・ゲデス経済相に電話し、「ベビアーノ氏の失墜は社会保障改革を難しくする」と大統領に伝えるよう依頼したという。
マイア議長にとってべビアーノ氏は、ボルソナロ氏三男エドゥアルド氏らPSLの下議の一部が強く反対する中で調整役に回り、下院議長選でPSLを味方につけてもらった恩義もある。
軍出身の閣僚も、このボルソナロ家の問題に関して動きはじめた。サントス・クルズ大統領府総務室長がその対処役をつとめることが明らかにされた。アウグスト・エレーノ大統領府機関保安局(GSI)長官や、フェルナンド・アゼヴェド国防相も対策会議に呼ばれている。
アミウトン・モウロン副大統領も「穏便に解決を」と訴えている。軍部はかねてからボルソナロ氏の息子たちの動きを快く思っておらず、かねてから問題視していた。
当地テレビやラジオのコメンテーターの多くは、「政府閣僚はしかるべき政治的手続きを経て、大統領から選ばれた人物。家族とはまったく別の論理で動いている。家族だからと政府のことまで口出しさせるのはおかしい」という意見が多く、カルロス氏には向かい風になっている。