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幽霊候補疑惑=ベビアーノ更迭巡り混沌=大統領一家がPSL離党?=大事な社会保障改革法案目前に

べビアーノ氏(Valter Campanato/Agencia Brasil)

べビアーノ氏(Valter Campanato/Agencia Brasil)

 社会自由党(PSL)の昨年の統一選での幽霊候補疑惑スキャンダルを追及されていた同党重鎮のグスターヴォ・べビアーノ氏が、ボルソナロ大統領から大統領府総務室長職をいつクビにされるのかに世間の注目が集まっている。その一方で、ボルソナロ家がPSLを離脱して新政党に合流するとの報道も行なわれ、大事な社会保障改革案の提案を今週控えているにも関わらず、事態はより混沌としてきた。17、18日付現地紙が報じている。

 13日にボルソナロ氏次男カルロス氏に「嘘をついた」とツイッターで批判され、ボルソナロ大統領に「不正関与が本当なら更迭」と言われていたべビアーノ氏。疑惑を否定し、総務室長はやめないといい続けてきた。
 今週から始まる予定の社会保障改正法案の審議開始をにらんで、15日にはマイア下院議長が「べビアーノ氏の調整力を欠けば、社会保障改革は遅れかねない」発言や、アミウロン副大統領が「家族と政府は別。若造(カルロス)に分からせろ」とベビアーノ擁護発言をする中、ボルソナロ大統領が留任にかたむくとの観測も流れた。
 一転、翌16日に「大統領はベビアーノを解任させたがっている」との報道が主流になり、グローボ局は「月曜日付の連邦官報に解任が告示されるはず」と報じた。後任候補にフロイアノ・ペイショット陸軍中将が8人目の軍人として挙がっているとの報道も。
 しかし18日(月)の官報には解任告示はなく「官報臨時版か」との観測も流れたが、18日午後4時現在で「正式解任」との報道はない。
 べビアーノ氏は「なぜ自分だけがペルナンブッコ州で起きた疑惑の責任を取らされ、ミナス州で同様に起こった疑惑で(支部長だった)マルセロ・アルヴァロ・アントニオ氏が咎められないのかがわからない」とし、さらに「私は100%、不当な仕打ちを受けた。それは当の大統領でさえわかっていることだ」と不満を隠さなかった。
 PSL内部でもジャナイーナ・パスコアルサンパウロ州議のように「べビアーノ氏一人が関与も曖昧な状態で更迭されるのはおかしい」と疑問を呈する人もいた。
 べビアーノ氏はここ数日、ワッツアップ内で自分の電話番号がばらされ、ボルソナロ支持者から脅迫行為を受けていたことも明かしている。
 なお、今回の騒動を受け、カルロス氏による連邦政府への口出しはボルソナロ氏によって禁じらたとの報道もあった。
 一方でボルソナロ氏と3人の息子が、今回の幽霊疑惑でのイメージ・ダウンを恐れ、PSLを離脱して新政党に合流することを画策中で、もう既に交渉もはじめたと17日付エスタード紙が報じた。この新政党は「全国民主連合」(UDN)。高等選挙裁判所の承認前の政党で、結党に向けて最終段階にある。マルクス・アウヴェス・ダ・ソウザ氏が同党創設者で、ボルソナロ氏の三男エドゥアルド下議が交渉に入っているという。
 この動きに関してマジョール・オリンピオ上議(PSLサンパウロ州支部長)は「大統領は新党合流の決断をすべきではない。大事な議会日程を不安定にするだけ」と警告を発した。