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ボルソナロ=べビアーノを正式解任=更迭なのに賞賛動画を公開=政府や議会に広がる不安感

ベビアーノ前総務室長(Marcelo Camargo/Ag. Brasil)

ベビアーノ前総務室長(Marcelo Camargo/Ag. Brasil)

 ボルソナロ大統領は18日夜、グスターヴォ・べビアーノ大統領府総務室長を正式に解任し、陸軍予備役中将のフロリアーノ・ペイショット・ヴィエイラ・ネット氏を後任に迎えた。更迭したのに大統領はベビアーノ氏を賞賛する動画を公開、自党の社会民主党(PSL)、政府、さらには連邦議会にまで大きな波紋を広げている。19日付現地紙が報じている。

 18日(月)夜、オタビオ・ド・ヘゴ・バロス大統領府広報官は臨時記者会見を開き、べビアーノ氏更迭の発表を行なった。前日からの報道では18日付け官報にスパッと辞職が掲載されるとの話もあったが、もっと丁寧な扱いになった。
 その直後、大統領はネット上でベビアーノ氏を称える動画を公開。大統領はそこで、昨年の統一選でのPSL幽霊候補疑惑や、次男カルロス氏との衝突などの話題を避け、「内部的な理由で辞めてもらうことになった」とオブラードにくるんだ表現を使い、昨年の選挙時の貢献を大きく強調して褒め上げて「これまでの貢献に感謝したい」と、更迭させたにも関わらず感謝のメッセージを強調した。
 それは、べビアーノ氏が大統領の足元である与党PSLのナンバー2で、大統領選挙時にボルソナロ氏の選挙参謀をつとめた非常に親密な間柄だったためだ。当然、裏事情にも通じており、もしも同氏が政権への報復を思い立ったら、痛手をこうむる可能性が高い。それを恐れ、べビアーノ氏にイタイプ・ダム運営公社社長やイタリアやポルトガル大使などの公職を提案したが本人が断っていた。
 後任にはフロリアーノ・ペイショット・ヴィエイラ・ネット氏(64)が発表された。同氏はアウグスト・エレーノ大統領府機関保安局(GSI)長官と同じく、ハイチ国連軍を率いた人物として知られている。
 これで現政権8人目の軍人閣僚となる。軍部の一部は喜んだが、空海軍に比べ、陸軍の登用が目立つことから、軍部内での力関係に支障をきたすのではと心配する声も出ている。
 さらにヴィエイラ氏は軍人であり政治手腕が不明な点も、連邦議会では不安視されている。下院では今週、社会保障制度改革の審議を行なうが、議長選で票まとめに尽力したべビアーノ氏を失ったことは、ロドリゴ・マイア下院議長にも大きな痛手となっている。
 ボルソナロ氏は20日にも同改革案の提案を自らするとしているが、政治的折衝役が減ったことで、オニキス・ロレンゾーニ官房長官の負担が増えるとの話もあり、不安感は消えない。
 PSL内部でも、同党女性下議で最多得票のジョイセ・ハッセルマン氏が「重度3の火傷に湿布を貼るようなものだ」と更迭処分を問題視する声があがっている。
 父ボルソナロ氏から「連邦政府への口出しはするな」とカルロス氏は言われたとはされながらも、今も重要な大統領府SNS(交流サイト)関係を担当していると報道されている。