パラグアイ政府は昨年、逮捕していた97人のブラジル人を国外追放処分にした。この数は、2年前から6割以上の増加だと、19日付ブラジル紙が報じた。
州都第一コマンド(PCC)や、コマンド・ヴェルメーリョ(CV)などのブラジルの犯罪組織は過去3年に渡り、パラグアイとブラジルの国境付近で麻薬密売の縄張り争いを繰り広げている。
国外追放処分を受けた者には幹部級も含まれている。パラグアイ警察は犯罪組織を幇助している地元警察官もいるのではとの疑いで捜査を進めている。
昨年12月に、ブラジル、パラグアイ間の犯罪者引渡し協定が発効。今年の2月初旬までで、既に15人のブラジル人が送還された。この3年でパラグアイは、ブラジル人逮捕者が最も多い(ブラジル以外の)国ランキングで、日本、ポルトガル、スペインを抜いて2位になった。1位は米国だ。
パラグアイの国家麻薬取締局(Senad)捜査局長、グスタヴォ・モリーナ氏は、ブラジル犯罪組織は、現地で影響力を高めていると語る。その方法は、警察や看守を買収するというもので、パラグアイ国内で流通している違法薬物の8割は刑務所から流出したものだ。
モリーナ氏によると、CV、PCCの他にも、サンタカタリーナ第一グループ(PGC)、北の一家(FDN)、純第三コマンド(TCP)など、合計五つの犯罪組織がパラグアイに拠点を作ろうと暗躍している。
ブラジルと接するペドロ・ファン・カバジェロ市のSenad本部にブラジル連警の諜報部の支局ができた事で、両国警察は協力体制を強化している。
モリーナ氏は「両国の警察が情報を共有して効果的に動いている」と語るが、犯罪集団も黙っていない。昨年11月にはパラグアイ検察のトップ、サンドラ・キニョーネス長官への殺害予告をCVは行った。
昨年ブラジルに強制送還された、CVの幹部“ピロト”は、「パラグアイは(犯罪)天国」とニューヨーク・タイムズ紙に語るほど、パラグアイの警察は弱く、内部の腐敗も激しかった。
しかし、キニョーネス長官は、「パラグアイはかつてないほどに犯罪組織への締め付けをきつくしており、犯罪組織も稼ぎ所を求めて、別の国を探すようになっている」と語っている。
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