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沖縄芝居に日系3人が初出演=ウチナーグチの勉強きっかけに=大伸座、70周年記念公演で

左から2人目がウエマさん(写真=翁長みどりさん提供)

左から2人目がウエマさん(写真=翁長みどりさん提供)

 【沖縄県那覇市発】沖縄芝居の大御所、大宜見小太郎さんが結成した『大伸座』(大宜見祥子座長)が創立70周年を迎えるにあたり、今月17日に沖縄県北谷町(ちゃたんちょう)で記念公演を催した際、ウエマ・ピニェイロ・アキラ・エドアルドさん(35、四世)ら日系人3人が初出演した。ここ数年、伝統継承のために沖縄を訪れてウチナーグチ(沖縄方言)を勉強する在外沖縄県系人の熱が高まっており、日系人が伝統ある同座の舞台に出演するのは今回が初めて。

 旗揚げ70周年を祝した今公演では、時代を超えてうちなーんちゅに愛されてきた、親子愛を描いた不朽の名作『丘の一本松』を上演。戦前には南米公演も実施するなど、当地とも縁の深い劇団だ。
 今公演には、日系ブラジル人三世のウエマさんほか、日系アルゼンチン人三世のサクダ・アンドレスさん、ハワイの日系米人四世のマエザト・サマンサさんの3人が村人役として出演した。
 ウエマさんは、ウチナーグチを学ぶため08年4月に県費留学生として初めて沖縄に渡った。
 「文法から勉強を始めたが、実際に言葉が使われている環境にないと上達は難しい。周囲にはウチナーグチを話せる人が少なかったので、そこで言葉を覚えるため沖縄芝居を聞いて勉強を始め、芝居に憧れるようになった」と話す。
 出演を終えて、ウエマさんは「沖縄演劇の巨匠・真喜志康忠先生の沖縄芝居を毎日聞いていて憧れがあった。一回経験してみたかったので、念願が叶って嬉しい。素晴らしい経験だった」とコメントした。
 県費留学や地方自治体の研修制度では、三線や空手、琉舞や陶芸、染物はあるが、沖縄芝居はない。今回は、大宜見小太郎さんの娘・祥子座長の計らいで、脇役として出演が決まったという。
 この通信を寄せた打楽器奏者の翁長みどりさんは、「3人は台詞のない村人役だったが、沖縄芝居ならではの動きや、先輩方のウチナーグチの生きた会話のやり取りは大きな体験になったのでは」と話し、「来年以降も、毎年何名かの日系人が出演できるようになって欲しい」と期待を寄せた。