ホーム | ブラジル国内ニュース | べビアーノ反撃、録音暴露=大統領との3回の会話公開=軍官僚らカルロスに不快感=暫定令の下院承認で初大敗

べビアーノ反撃、録音暴露=大統領との3回の会話公開=軍官僚らカルロスに不快感=暫定令の下院承認で初大敗

グスターヴォ・ベビアーノ氏(Valter Campanato/Ag. Brasil)

グスターヴォ・ベビアーノ氏(Valter Campanato/Ag. Brasil)

 社会自由党(PSL)の幽霊候補疑惑の責任を追及され大統領府総務室長を18日夜に更迭されたグスターヴォ・ベビアーノ氏は翌19日、ボルソナロ氏とワッツアップを通じて行なった12日の3回の会話録音をヴェージャ誌に渡して、同誌がネットで流した。大統領と次男カルロス氏が「べビアーノ氏は(12日に大統領と3回話したと)嘘をついた」との証言が覆され、グローボTV局などが大々的に報道したことで波紋が大きく広がっている。20日付現地紙が報じている。

 18日午後、ヴェージャ誌はサイトを通じ、べビアーノ氏が渡した12日録音のボルソナロ氏との会話を公開した。これは「幽霊候補疑惑」「リカルド・サレス環境相らのアマゾニア行きの行事キャンセル」「グローボ局の取材」など、3つの音声から成り立っており、同氏がグローボ紙などに語った「きょう(12日)、ボルソナロ氏と3度会話をした」という証言が正しかったことをアピールした。
 このべビアーノ氏の12日の証言を、13日にカルロス氏がツイッターで否定し、べビアーノ氏を「メンチローゾ(うそつき)」と強い語調で批判し、その夜にボルソナロ氏自身もレコルデ局のインタビューで「(幽霊候補への)不正関与が真実ならべビアーノ氏は解任だ」と言い、18日の更迭になった。
 この録音はグローボ局でも19日夜、ボルソナロ氏が「グローボの連中は大統領府にいれるな。奴らは敵だ」と語ったところまで報道された。
 今回のこの騒動を受け、陸軍予備役大将の3官僚、アウグスト・エレーノ大統領府機関保安局(GSI)長官、フェルナンド・アゼヴェド国防相、サントス・クルズ大統領府総務室長は連名で、息子たちに連邦政府へ口出しを行なわないよう求めた。
 問題とされたのは主にカルロス氏だが、三男のエドゥアルド氏も父が入院中に大統領代行だったアミウトン・モウロン副大統領に対して批判発言を繰り返していた。3人の軍人閣僚はべビアーノ氏更迭で、連邦政府の政治折衝力が弱まったことに不満を抱いている。
 ベビアーノ氏は同録音の中で「立候補者は各州が管理する。党は州内部のことに関与していない。ペルナンブッコ州で起きたことは、俺じゃなくてヴィアル(州支部長)の責任だ」と弁明した。これが本当なら幽霊候補疑惑関与は明らかでなく、録音にあるような大統領との信頼関係の崩壊で解任されたようだ。
 連邦議会でPSL幹部として強い政治力を発揮してきたベビアーノ氏への処遇には、同僚議員からも反発が生じ、その悪影響は19日の下院でも早速現れた。
 1月24日にモウロン大統領代行が調印した大統領暫定令「情報入手法」の議会承認では300票以上が反旗を翻し、連邦政府側の意に沿う票はわずか57票しか投じられず、大敗を喫した。
 20日午前、ボルソナロ大統領自らが肝心の社会保障改革案を下院に持ち込んだが、先行きが不安視されている。