【既報関連】ボルソナロ政権は、セルジオ・モロ法相が立案した一連の「犯罪防止法案」から、「闇帳簿(カイシャ・ドイス)を独立した犯罪と定義する」ことに関連した法案部分が切り離されたと19、20日付現地各紙・サイトが報じた。
カイシャ・ドイスは現行法では「文書偽造罪」に問われている。モロ法相は、地裁判事としてラヴァ・ジャット作戦を担当していた頃から「カイシャ・ドイスは汚職より酷い」と主張してきた。
ただし今回は、「『確かにカイシャ・ドイスは罪だが、汚職、組織犯罪、暴力犯罪ほどではないのでは?』との意見が各所から出て、受け入れることになった。カイシャ・ドイス関連は、すぐには議会にかけられない」と譲歩した形だ。
19日にボルソナロ大統領が署名して議会に提出されたのは「組織犯罪関連」、「暴力犯罪関連」、「汚職関連」、「二審、陪審裁有罪判決後の禁固刑執行」、「PCCとコマンド・ヴェルメーリョを、犯罪組織と定義する」、「正当防衛適用条件変更」などだ。
モロ法相は「具体的で、強力なものになっている。一連の法案の方向性は正しい」とし、「全ての犯罪は互いに関連性がある。個別の犯罪の罪を重くするだけでは十分でない。捜査から立件、有罪へと持っていくために法体系を整備した」と語った。質問がカイシャ・ドイスに及ぶと、「カイシャ・ドイス自体は汚職ではない。汚職とカイシャ・ドイス、別の二つの犯罪があるという認識」と法相は答えた。
ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)は「カイシャ・ドイス関連に議員から反対があった訳ではない。カイシャ・ドイス関連法はいつでも採決できる。今回一旦切り離された事は問題ではない」と語った。
与党社会自由党(PSL)所属のジョイセ・ハセルマン下議は、「カイシャ・ドイスを使った事のある議員は、採決時に当然反対する。犯罪防止法案の大部分をスムーズに通すためには賢明な策」と理解を示した。
しかし国際組織、国際透明性機構(TI・本部ベルリン)ブラジル本部のブルーノ・ブランドン氏は、「別の法案を通すための交換条件として、カイシャ・ドイス関連法が犠牲になるのは好ましくない」と語った。
「犯罪防止法案」は今後委員会に諮られ、両院での採決の後、ボルソナロ大統領の裁可を持って成立となる。今年中の裁可が期待されている。