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社会保障制度改革=大胆で厳しすぎと法案不評=下院「和らげる修正は必至」=州知事「現状では通過無理」

ボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)
ボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)

 20日にボルソナロ大統領の提出した、社会保障制度の改革を目的とした憲法改正案が、支出削減を大胆に提案する厳しい内容を含んでいることを受け、下院議員や知事のあいだで不安が走っている。22日付現地紙が報じている。
 エコノミストのアレシャンドレ・カライス氏がエスタード紙サイトに22日に発表したコラムは、同改正案について全般的な方向性ついて《高所得者により厳しく、低所得者にはゆるく改革する内容》と評し、《市場では大変受けがいいが、連邦議員や公務員からの抵抗が強まっている》と書いた。
 今は50代から年金をもらうことが可能な公務員も一律に男性65、女性62歳からの受給にされ、INSSの受給上限が厳しくなるなど特権的な待遇にメスが入れられる。抵抗が起きるのは予期されたことだ。
 農村労働者は現状、15年以上INSSに払っている男性は60歳から、女性は55歳から年金をもらえる。改正案では20年以上払う必要があり、男女とも60歳からと厳しくなる。農牧族からの痛烈な批判が集まりそうだ。
 いずれ妥協してゆるくなることを見越して、最初はあえて厳しめの内容になっている。社会保障制度改革による財政削減効果は向こう10年で1兆1千億レアルと試算されているが、カイラス氏は前記コラムの中で、議会でもまれて8千億レアル程度に緩められても十分に効果見込めるとし、年金専門家パウロ・タフネル氏は「5千億レアルでも上等」とみる。それぐらい現状の案は厳しい削減内容を含んでいる。
 軍人年金(消防士、軍警含む)改正案が3月20日に第2弾として議会に提案される予定。民主党(DEM)の下院リーダーのエウマール・ナシオメント氏は「いまの法案審議を進めて修正を加えつつ、軍関係を含む次の追加法案を待ちたい」としている。
 与党・社会自由党(PSL)の下院リーダーのデレガード・バウジール氏は、「連邦政府は、すぐに次の法案を出さないと。でないと〝軍人には甘い別のものが適用されるのでは〟という印象を与える」と語る。
 特別委員の一人マウロ・べネヴィデス・フィーリョ氏は、「Por tempo(年数制)」の場合、年金保険料の支払い期間が現状の30年から35年にのびたことが、特に不人気な点だと指摘し、「間違いなく修正が入るだろう」と語っている。
 パウロ・ゲデス経済相は20日に州知事との会合を行ない、ここでも悪評だった。連邦直轄区知事のイバネイス・ロシャ氏は「この法案では政府側は50票も獲得できない」と酷評し、ピアウイ州のフラヴィオ・ジーノ知事は「最も貧しい層が一番負担がきつい」と指摘した。両者共に、知事連合の社会保障制度改革プロジェクトのリーダーだけに厳しい発言だ。
 今回の法案では、公務員の年金保険料支払い額を引き上げる案が出ており、最大で22%まで引き上げられる可能性が出てきた。これに対し、公務員側は最高裁に訴えることも辞さない構えでいる。

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