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静岡文化芸術大学=学生がJHで県紹介=「日伯は強い絆で繋がっている」=初のブラジル青少年派遣事業で

講演での発表の様子

講演での発表の様子

 「日本とブラジル、2つの国は強い“絆 ”で繋がっています」――日系ブラジル人三世の宮城ユカリ・モニカさんは発表の最後にそう結んだ。静岡県庁、日本外務省、ブラジル静岡県人会が連携した初めての試み「ブラジル青少年派遣事業」。ジャパン・ハウス(JH)で約1週間研修を行った学生らは、最終日の24日午後3時に一般客向けに静岡県の紹介を行った。学生の中からは今回の研修で「日系ブラジル人が多い静岡県だからこそ役立てられることがある」という思いが語られた。

記念の集合写真

記念の集合写真

 静岡文化芸術大学(浜松市所在)で数十人の応募者の中から選ばれた6人の学生は、JHで約30人の聴衆の前で堂々と静岡県を「観光」「食」等の様々な角度から紹介した。

講演に駆けつけた宮城さんの親戚ら

講演に駆けつけた宮城さんの親戚ら

 最後を飾ったのは、宮城さんの「静岡の中のブラジル」。在日外国人の約3割がブラジル人の同県で、その約3割が在住している浜松市にスポットが当てられた。
 同市にはブラジルのスーパー、飲食店があり、フェスタ・ジュニーナやサンバ等の文化的イベントも開催されており、同市の大イベントの一つとなっている。宮城さんは「このイベントではブラジル以外の外国人も一緒に楽しむ」と指摘、「県は多文化共生している」と強調した。
 8歳まで当地に住んでいた宮城さんは、在日ブラジル人の中には自分のルーツを嫌う人がいる一方で、彼女はルーツに誇りを持っており「またブラジルに戻ってきて好きだと思った。その気持ちを伝えたい」と気持ちを述べた。
 発表後、宮城さんの講演に駆けつけた叔母の宮城新垣セツコさんは本紙の取材に応じ、「ユカリの親戚と一緒に観に来た。プレゼンは凄く良かったし、こうやって日本から来てもらえるのは嬉しい」と微笑んだ。

静岡文化芸術大学の学生とジャパン・ハウスのスタッフら

静岡文化芸術大学の学生とジャパン・ハウスのスタッフら

 同大学4年生で、卒業後は英語教師になる予定の土田美駒(みく)さんは、「つまずく外国籍で子をサポートするのに、今回の経験を役立てたい」と将来への意気込みを語った。
 日系ブラジル人三世のミウラ・シンチア・サユリさんは「卒業後は在日ブラジル人が多く働くスズキに就職予定。今回の研修が将来的に繋げられれば」と希望を述べた。

 一行は19日からJHで研修し、22日には学生からJHのサービスへの提言。「レストランでお酒の試飲会を行っては」等の意見が出で、アラウージョ館長やスタッフらは熱心に耳を傾けた。全行程終了後には、野口泰聖総領事から修了証が手渡された。


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 学生らはJH研修で日本の展示手法との違いに驚いたそう。例えば、宣伝方法。オープンする日に花を町中やイビラプエラ公園で配る等の日本ではない手法に興味を惹かれたとか。また、静かな鑑賞が求められる日本とは異なり、来場者の様子を観て声をかけるフロアスタッフに感動したという。一方で常設カフェには日本ほど力が入れられておらず、展示重視の印象を受けたとのこと。確かにJHの収入源になり得るので、今後力を入れてみては?